30代・未経験からWEB業界へ挑戦、創業CTOを経験――。幾つもの難題に挑んできた村上氏が、ココナラを次の舞台に選んだ理由

村上 正敏|株式会社ココナラ 執行役員 開発本部担当

大阪府立大学大学院工学研究科知能情報工学専攻修了後、2007年より株式会社日立製作所 システム開発研究所に入社し、エンタープライズシステム開発における先端研究に従事。その後2014年退職後、Web系ベンチャー企業を中心にエンジニアリーダーとして大小さまざまなプロダクト開発を経験。2016年にエベリスト株式会社にCTOとして参画・サービスの売却を経て、2019年6月よりココナラに参画。

株式会社ココナラについて

まず初めに、御社の事業内容を教えて下さい。

ココナラ(以下、弊社)は、「知識・スキル・経験」といった得意を売り買いする日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」を運営しています。

サービス開始から9周年を迎えた今、カテゴリ数は450以上、サービスの出品数40万件以上、会員登録者数は227万人を超えました(21年5月時点)。ビジネスでの課題解決や、プライベートでの悩みや困りごとなど、あらゆる局面で専門家やプロに相談・依頼ができるスキルマーケットへと成長しています。

プログラミングの可能性を感じ、大規模システムの生産性向上の研究に取り組んだ20代

ここからは村上さんのキャリアについてお伺いします。プログラミングに初めて触れたのはいつでしたか?

私が学生の頃は、まだ一般的にパソコンが普及していない時代で、私自身も、大学で工学研究科に進むことになったタイミングで、ようやくパソコンを購入しました。

工学研究科では、講義や研究の各場面において、C言語やJavaなどのプログラミングを経験しました。実際、触ってみると、単なるテキスト文字列が機械に解釈されて動作する様がとても面白く、自由度が高く色々なことができるプログラミングに可能性を感じました。

大学ではどんなものを開発しましたか?

ソフトウェア開発の生産性に関する研究の一環で、研究内容を検証するための開発ツールを作成しました。当時MDA(Model Driven Architecture)という設計書からコードを自動生成するパラダイムがあり、その応用として、特定ドメインの設計書を図で記述したら、そのドメイン特有のコードを出力するというものです。

具体的には当時主流だった、Eclipseという統合開発環境(IDE)上で動作するプラグインとして、グラフィカルなエディタや、コード自動生成ツールなどを実装しました。単純にコードを実装するだけでなく、Eclipseという巨大な開発環境の仕組みを垣間見ることができたのは良い経験となりました。

大学院卒業後、2007年、株式会社日立製作所 システム開発研究所に入社されていますが、その経緯と当時の業務内容を教えて下さい。

学生時代に研究していた内容と近しい領域でしたので、入社を決めました。まず、インターン生として日立製作所のエンタープライズシステム(鉄道や電力など日本のインフラを担う大規模システム)の開発現場で1ヶ月ほど働いていました。当時のインターンは、社員から教わるという感じはなく、現場に放り出されたという感じでしたね(笑)大学・大学院時代に学んだ知識を駆使し、日々、四苦八苦しながら働いていました。

入社後は、エンタープライズシステム開発の先端研究を行う研究所に配属されました。エンタープライズシステムの開発は汎用的なものではなく、設計書作成から実装までが独自のもので非効率な部分も多々ありました。その生産性を上げるため、開発方法の見直しに関する研究に従事していました。

その後、2014年に何故株式会社リブセンスへ転職されたのでしょうか?

前職の仕事では、論文を書いたり特許を書いたりと色々と経験させていただいたので、非常にやりがいを感じていました。しかし、大規模システムということもあり、研究してから適用されるまで10年程の年月を要します。働いた成果がすぐにフィードバックされないことに対して、どこかもどかしさを感じていました。

私が開発を好きな理由は、素早く世の中に出して、そしてそれをより良いモノにするためにPDCAを回していくことだと気づき、それを沢山経験できるWEB業界へ転職を決意しました。

しかし、転職を志したのは30歳を超え。年齢も高いし、経験もない。このタイミングで業界を変えるという決断は、無謀に近かったです。まさに、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでした(笑)

WEB業界未経験者でも雇ってもらえるのであれば、年収は下がっても良いという覚悟で転職活動に励み、ご縁にも恵まれて株式会社リブセンス(以下、リブセンス)という大きな会社で働くことになりました。

WEB業界でのキャリアスタート。1ヶ月死ぬ気でやった

業界未経験からスタートしたリブセンスでの仕事はいかがでしたか?

最初の1ヶ月間で、普通のエンジニアと同じ位までのスキルを身に付け、入社後、約半年でリーダーになりました。このように話すと、簡単なように思われるかもしれませんが、正直、入社後、最初の1ヶ間は死ぬ気でやりましたね(笑)寝る間も土日も費やして……。「この1ヶ月頑張れなければ生きていけない」という危機感がありましたから。

リブセンスでは、主にどのような業務に取り組んでいましたか?

運営していた転職サイトの機能開発に従事しました。もともと、WEB側(バックエンド)のエンジニアとして採用されましたが、Androidアプリの立ち上げの時にリーダーとして企画~開発まで行ったり、インフラシステムのCI/CD環境のリニューアルを指揮したりと、幅広い業務に携わることができました。

その後転職したザワット株式会社(以下、ザワット)でもリーダーを務めていますが、どのような業務を担当されましたか?

ザワットは、人数も少なかったので必要に応じてなんでもやる感じでした。他2人のエンジニアをリードする傍ら、イベント開催、テレアポ、企画、広告運用など何でもやりました。

このように、私自身も走り回っていましたので、リーダっといってもマネジメントらしいマネジメントは出来ておらず、背中を見せて突っ走っていくのが精一杯でした。

ベンチャーの創業CTOへ就任。開発する傍ら、資金調達のため投資家回りに奮闘

2016年、エベリスト株式会社にCTOとして参画されていますが、その経緯を教えて下さい。

ザワットの売却が決まったため、次の職場を探していました。そんな時、ザワットで一緒に働いていた同僚に、「起業するから、その会社のエンジニアリングをお願いしたい」とCTOを打診されました。このような経験は、今後の人生で一度あるかないかの出来事だろうと思い、参画を決意しました。

創業当時はどのように働いていましたか?

創業当初は、会社側から十分な給与を払えない状況だったため、生活費を別途稼ぐためにフリーランスでお金を稼ぎながら、その合間でエべリストのプロダクト開発を進めていました。週4で業務委託、それ以外の時間で、早朝や土日も使って、自社のシステム開発をするというような生活でしたね。実質週7で朝から晩まで稼働していたと思います。

やはり創業期はハードワークですね……。CTOというポジションでしたが、村上さんはどのようなことに取り組んでいましたか?

開発もそうですが、資金調達をする必要があったため、事業計画書の作成から実際の投資家周り、投資家への説明までもおこなっていました

何故そこまでコミットできたのでしょうか?

やるときめたからにはやりきりたいという思いと、運命共同体である社長達を信じていたというのが大きいです。

社長はブランド品を始めとする中古品の流通ノウハウやチャネルを持っていて、古物商の業界では経験豊富方でした。加えて、一緒に働いていた奥さまは、美容界隈で有名なインフルエンサーの方でした。この2人がタッグを組んで、美容系のレンタルサービスをビジネスとして展開したら、間違いなく成功するんじゃないかって。これで上手くいかなかった時は、エンジニアリングの責任だろうなと(笑)だからこそ、頑張れました。また、2人の人柄がとても良かったことも、コミット力に少なからず影響していたと思います。

その後、サービスを売却されていますが、その経緯を教えて下さい。

私たちの事業は、投資家の食いつきもよく、それなりに売上も立ち成長していましたが、資金調達の最終決断にまで至りませんでした。

このころ私自身も業務委託を辞めて本業にコミットし始めていたため、このままの状態が続くと、会社の資金が尽きてしまうため、「一定のラインを決めてここまでやって芽がでなかったら売却する」と話し合って、そして一定期間内にその基準を達成できなかったこともあり、最終的に売却する判断となりました。

創業ベンチャーを通して、様々な経験を積んできた村上さんが、次のステージでココナラを選んだ理由を教えて下さい。

前職で実質、起業に近い貴重な経験をさせていただいた中で、再び自分で起業したとしても、同じような結果になるなと感じていました。というのも、資金調達の際、自分には特別、エンジニア以外の武器がないと気づいたからです。

この世界は、やりたいことだけでなく、経歴や年齢をはじめとして、何故あなたなのか、何故いまなのかという背景も重要です。さらには、過去の資金調達の実績やどんな困難ことでもやりきる実行力なども大切です。「良いアイディアさえ考えたら何とかなる」という状況ではないと身を持って痛感し、それをやるのは自分には向いていないなと感じました。

初心に戻って、「そもそも私はエンジニアなんだから、もっと開発に専念しよう」と決めて仕事を探し始めました。最初の転職活動とは違って十分な開発経験を積めていたので、今回は無事数社から内定もいただきました。

それから近況報告をFacebookで呟いたら、以前業務委託として現場でお世話になったことがあるココナラの社長 南(現会長)から「うちにもチャンスをくれないか」と連絡をいただきました。

正直、別の会社で内定も出ていましたので、悩みましたが、その数日後に南が私の家まで来てくれて。その情熱に、身も心もほだされましたね(笑)

ココナラは、すでに業務委託で開発現場を経験していた会社だったので、エンジニアとして自分のスキルアップにならないのではないかという点を懸念していました。しかし色々な話を聞いていうくちに、自分が関わっていた2年前より、技術も大きく進歩しており、短い期間で成長できる会社なのだということがわかってきました。これから長い間在籍したとしても、会社自体が成長を続けているため、自分のスキルアップにも繋がると感じましたので、ジョインを決断しました。

ココナラ入社。SRE→マネージャー→執行役員と組織拡大に合わせて役割が変化

何故、SREチームの一員としてスタートを切られたのでしょうか?

当時はCTOのような指揮を執るポジションの方がおらず、現場のエンジニアだけで動いていた状況でした。最初は「システム全体を広くみてもらいたい」ということから開発基盤グループに配属されました。私はこれまでの経験としてはプロダクト開発が中心ではありましたが、将来を鑑みた時に、最初にシステム全体を把握した方が良いと思ったのでそちらでキャリアをスタートしました。

2020年3月にウェブ開発グループのマネージャーに就任されておりますが、ここでは、どのような役割でしたでしょうか?

開発基盤グループでシステム全体のことがある程度わかるようになった後、ウェブ開発グループに移り、マネージャーに就任しました。当時のウェブ開発グループは、フロントエンドとバックエンドチームからなる10名程の組織でした。グループマネージャーは、そのエンジニア達を統括しする役割をもちつつ、プレイヤーでもあったので、私自身も手を動かしながら、その傍らでマネージメントを行っていました。

マネジメントという点では、1on1(毎週1人30分)を実施していました。やはり、各メンバーがどんなことを考えているのかを知るには、密にキャッチアップする必要があると思っています。また、メンバーの方から、マネージャーに聞きにくい場面もあると思うので、1on1というスタイルを取り入れてます。

1on1で気を付けていることはありますか?

1on1でよく聞く質問としては、「何に困ってて、どこを改善したらよいと思う?」だと思いますが、その答えをそのまま鵜呑みして実施するだけだと、近視眼的で場当たり的な対応になってしまい根本的な解決にはならないこともあると思っています。

例えば、あるメンバーから、「今バックエンドが忙しくて、他のことが中々出来ない」という話を打ち明けられたとします。しかし、そのメンバーの業務量を減らしただけでは、根本の解決にならないこともあります。そのメンバーに目指すキャリアを聞くと、「バックエンドで忙しいけれど、本当はフロントエンドにも挑戦したい」だったりするためです。

エンジニアの中には、技術を深堀してやっていきたいタイプの人間もいれば、マネジメントを視野に入れてやってきたい人間もいます。同じエンジニア(職種)でも、目指す方向性は人それぞれですので、その人が何をしていきたいのか、またプライベートな状況で困っていることも働き方に関係してきますので可能な範囲で聞き、サポートできるよう取り組んでいます。

2021年3月に執行役員 開発本部担当に就任されましたが、今の業務内容の内訳を教えて下さい。

プロジェクトマネジメント3割で、エンジニアリングの計画(エンジニアロードマップ作成、要員計画)が大半を占めています。

プリンシパルエンジニアの石原さんとは、どのように役割分担されていますか?

まだ、色々と調整中の段階ですが、石原は、システム全体をカバーするアーキテクトとして、中長期スパンでスケール可能なシステムを実現していくことが主なミッションです。例えば、マイクロサービス化を推進していくタイミングで、世の中の導入事例をベースに石原が検証して弊社なりにカスタマイズして適応させていくことに取り組んでもらっています。私は、それ以外の部分について、プロダクト開発のコントロールであったり、組織面・制度面の改善であったりと現場が開発に専念してもらうためのサポートをしています。

開発組織の特徴とそれを支えるココナラの文化

ココナラナラエンジニア組織の人数や体制の変化を教えて下さい。

2020年は、全社100名、(内、エンジニアは30名)ほどでしたが、2021年8月時点で全社で140名(内、エンジニア約50名)と、事業の拡大に合わせてどんどん人数も増加しています。

エンジニア採用は大変だと思いますが、どのような点を工夫していますか?

これまで弊社は、あまり外に情報発信をおこなっていませんでした。特にエンジニアの採用の場合は、社内の情報がより詳細に合った方が、興味を持ってもらいやすいと思っています。

そのため直近では、外部発信の強化を取り組んでいます。良い時も悪い時も含めて、「うちのエンジニア組織は、こんなことに取り組んでいますよ」を自社ブログや外部メディアなど打ち出しています。

正直、面接に来ていただけたら、あとはもう入社してもらえる自信があるんです(笑)サービスも伸びてますし、エンジニア組織も技術も、日々改善しています。

ココナラは、他部署の方に、技術負債などエンジニア組織の取り組みを理解してもらいやすい環境だそうですが、それは何故でしょうか?

どんな会社であれ、エンジニアではない人に、エンジニアリングの必要性を理解してもらうのは難しいことだと思います。そのため、勿論きちんとした説明は必要ですが、文化も大きいと思います。

弊社の文化の特徴として、大きく2つあります。

1つ目が、部署の枠に縛られない動き方ができる環境があることです。部署自体は、職種ごとに分かれてますが、実際の業務は、3~4ヶ月のスパンで、それぞれの部署から5~10人が集まり連携しながらプロジェクトを進めています。また、プロジェクトに直接入らないカスタマーサクセス(以下、CS)やバックヤードの方々とも、連絡を取り合う機会が多いです。

2つ目が、非エンジニアのITスキルが高く、エンジニア用語を翻訳しなくても伝わることです。非エンジニアの方も入社後にITスキルを身に着けられる環境があります。恐らく、弊社の社員は誰でも、SQLを書けるのではないでしょうか?

ユーザーの声を十分に取り入れた開発を行うために実践していることはありますか?

大きく2つのことを実践しています。

1つ目が、普段ユーザーと直接やりとりをしているCSからの意見収集です。これは、CSの方たちが本当に素晴らしくて。しっかりユーザのご意見・ご要望をヒアリングして、ノウハウとして貯めていく仕組みができています。

2つ目が、毎月実施しているユーザーイベントです。やはり、お問い合わせと生の声は、全然熱量が違います。皆さん、本気で思いをぶつけてくれるため、時には、具体的なユースケースをいただくこともあるんです。最近はオンラインなので、全国から参加いただけて、100人規模の大きなイベントになることもあります。

このように、日々、ユーザーの声に基づきながら、どうしたらユーザーに喜んでいただけるかという点を重視して開発を進めてます。新しい機能をリリースした後、SNSの反応を見て、ユーザーが喜んでくれてると嬉しくなりますし、イマイチな反応が多いと落ち込んだり、一喜一憂しています(笑)

ちなみにコロナ禍で、エンジニア組織の勤務体系はどう変わりましたか?

オンラインの効率的な面とそうでないところの両方が見えてきました。

オフラインのメリットは、「ちょっと聞く」ことがができることだと思っています。オンラインの場合は、zoomなどを利用することになり、あらかじめスケジュールで予定を確保した上での会話になるので、ちょっと聞きたい時は、オンラインだと非効率だなと思うこともあります。また、オンラインコミュニケーションのみだと、雑談や相談する頻度も減ってしまうため、中には一人ぼっちで、寂しいというエンジニアもいます(笑)会話できる場は大事だなと思っているので、週の1~2回ほど、オフライン勤務に戻してます。

ユーザー数一桁アップを見据え、盤石なシステム構築を目指す

最後に、これからココナラで村上さんが成し遂げたいことを教えて下さい。

弊社は、数年以内にユーザー数一桁アップをしていきたいと考えています。そうなってくると、アクセス数も膨大になりますので、これからが真のエンジニアリングの腕の見せどころになってくると感じています。

具体的には、大きく2つのことに取り組んでいきたいです。

1つは、「施策をより良いものにしていくこと」。私たちエンジニアが、一番サイトを触っていますので、エンジニアならではの意見もあると思っています。もっと、活発に意見を出していって、サービスがより良いものになるようサポートしていきたいです。

2つ目は、「一桁アップの基盤を整えること」。一桁アップというと、今の延長戦上でサーバーを増やすだけでは、到底、対応ができません。抜本から変えなければいけないため、その形は何なのかを自分たちで考え、リニューアルしていくことが、今後大きなテーマになってきます。それは、インフラ、アプリ、フロントエンド、バックエンドの全部が整って初めて実現出来るものだと思いますので、沢山のユーザーがサービス購入、出品できる盤石なシステムを目指して、エンジニア組織をしっかり作っていきたいです。

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