多事業展開するメガベンチャーCTOが語る、”必要だと感じたことを全力でやった”3年間の軌跡

小林 篤|株式会社ディー・エヌ・エー 常務執行役員 CTO

法学部法律学科からエンジニアへ転身し、2011年にDeNAに入社。Mobageおよび協業プラットフォームの大規模システム開発、オートモーティブ事業本部の開発責任者を歴任。2018年より執行役員としてDeNAのエンジニアリングの統括を務め、2019年より常務執行役員 CTOとしてより経営レベルでの意思決定にかかわることと、技術・モノづくりの強化を担う。

株式会社ディー・エヌ・エーについて

貴社のミッションや事業内容を教えて下さい。

弊社は、ゲーム事業やスポーツ事業、「Pococha」などで知られるライブストリーミング事業などのエンターテイメント領域と、ヘルスケア事業やオートモーティブ事業などの社会課題領域の2つの領域においてサービスを展開しています。両軸でシナジーを生み出し、いかにお客様に「Delight(喜び)」を届けるかという課題に日々取り組んでいます。

もともとは、法律を学ぶ文系学生。クリエイティブな仕事に魅力を感じ、未経験からエンジニアへ

現在、株式会社ディー・エヌ・エーでCTOを務められている小林さんですが、最初にエンジニアに興味を持ったきっかけを教えて下さい。

私は、大学では法律を学んでいた文系の学生で、就職活動を行うまでは、法律の資格試験の勉強にも励んでいました。

けれども、将来について考えた時、「もしこのまま法律の仕事に就いたら、いつかつまらなさを感じてしまうだろうな」と思いました。法律家は、毎年の改正をキャッチアップしながら進めていくことが仕事で、自分自身で法律を作ることが仕事ではありません。当時の私は、心のどこかで「クリエイティブな仕事をしたい!」という気持ちを持っていたため、別の道を進むことを視野に入れ始めました。

そんな時、システムエンジニアとして働いている知り合いの方から「ITの仕事は、将来性があるから、チャレンジしてみてもよいのでは?」と勧められました。ITの中でも、特にエンジニアという職種は、モノを作るという点で、とてもクリエイティブで面白そうだなと感じたので、未経験ながらもエンジニアとして就職することを決意しました。

エンジニアとしての転機が訪れたのは3年目。雑誌でみた同世代のエンジニアの活躍に触発され、エンジニアリングへの向き合い方が変わった

エンジニアとして社会人生活をスタートされましたが、その後どのようにキャリアを積んでいきましたか?

1社目は、受託系のシステム開発の仕事に携わっていました。エンジニアリングを1から学び、様々な技術的な課題に取り組み3年程経ったある時、技術雑誌『WEB+DB PRESS』を手に取りました。 当時、使用していたプログラミング言語(Perl)についての記事だったので、興味本位で読み始めたのですが、そこで私とさほど年齢が変わらない方々が、とても楽しそうに話している様子が掲載されていて、正直、衝撃を受けました。

当時の私のエンジニアリングへの向き合い方との間に大きなギャップを感じて、もっと能動的に自分自身も変化しなければいけないと刺激をもらいました。

しかし、当時の私は何のバックグラウンドも持っていなかったので、まずはCPAN(Perlで書かれたソフトウェアを集めた巨大なアーカイブ)の英語で書かれているドキュメントの翻訳を行っているプロジェクトに関わるところからはじめました。

ドキュメントとライブラリの挙動の違いを発見して、ドキュメントのバグなのか、実装のバグなのかを確認するため海外の人に直接連絡を取ったりと、徐々に能動的になってきました。

この経験を通して、世の中にはどのようなモノが必要とされているのか深く知ることができたので、私自身のキャリアにおいても大きな転機になりました。

その後、WEB系の企業に転職されていますが、どのような経緯で転職されたのでしょうか。

それから自分でも開発し、作っては公開していくという活動を繰り返していくうちに、社外のエンジニアとコミュニティなどで繋がりができ、それがきっかけで、WEB系企業へ転職することになりました。職場のメンバーは、OSS活動などを積極的に行なっているメンバーが多く、お互いに切磋琢磨できる環境でしたね。そのおかげもあり、私自身の技術に関する発信や雑誌への寄稿などの活動も一気に加速していきました。

その後、2011年株式会社ディー・エヌ・エーへ入社することになったのでしょうか?

Perlのコミュニティを通して、DeNAで働いている方と知り合いました。私たちは、飲みにいくような間柄だったので、会話の中で転職を考えていることを伝えたところ、一緒に働かないかとお誘いいただきました。

当時の私は、DeNAのような大きな組織で働いた経験がなかったため、働くイメージを持てず、「取り敢えず話を聞いてみよう」という位の気持ちで、面談へ向かいました。

面談では、DeNAのPerlを使った大規模システム開発の話やそこへのチャレンジの話を聞きました。これまでPerlの開発に携わってきた私にとっても、DeNAのチャレンジはとても魅力的に思えたので、入社を決めました。

また、もう1つ決め手になったのは、人事の方の素晴らしい対応です。私自身、PerlのOSS活動を行なっていたため、エンジニア界隈では結構名前が知られていました。そこで会社に来た事が変に噂にならないように、最寄り交差点まで迎えにきていただいたり、裏口のエレベーターで面接部屋まで案内してくれるなど最大限の配慮をしてくれました。そのような細かな心配りができる会社の社風がとても魅力的に映りましたね。

DeNAでは、マネージャー、執行役員を経てCTOへ。なりたいというより、必要性を感じた

2011年にDeNAに入社してからどのような業務に携わりましたか?

最初は、MobageOpenPlatformの開発に携わり、それから約1年半程過ぎた頃、マネージャーになりました。

正直、私は、「一生、コードを書いていくだろう」と思っていたため、これまでもマネージャー経験はありませんでしたし、今後もマネージャーをやるつもりもありませんでした。

けれども、組織が大きくなるにつれ、開発を円滑に進めるためにマネージャーが必要という状況になりました。誰もがその必要性を感じてはいたものの、誰もマネージャーをやりたがらなくて。エンジニアあるあるかもしれませんが(笑)

この状況であれば、私がマネージャーという役割に就くことが、ベストでなくてもベターな選択だなという流れになりました。

初めてのマネジメントはいかがでしたか?

やると決めたら、全力でやるタイプですので、未経験でしたが、勉強したり実践で失敗しながら学んでいきました。

当時は、ずっとマネジメントをやっていくつもりはなく、適任の方がいたら、その人に任せようという気持ちで取り組んでいました。

しかし、マネージャーとして働く中で、メンバー皆で作り出していくことをリードすることの面白さや、皆がワクワクしながら取り組んでくれる姿や成長していく姿を見ることへ達成感を感じるようになりました。

それからはマネジメントという立場になり、2018年に執行役員を経験し、2019年から現在の CTOというポジションに就任しました。

エンジニアのマネジメントで大切にしていることは何ですか?

モノづくりにおいて、失敗を許容する文化や失敗体験は重要だと思います。チャレンジする上で、「失敗する時や倒れる時は前のめりだ」と注文をしています。

現在、CTO統括の新規事業でプロダクトの0→1を回していく段階にいますが、その中でも常に「自分たちがワクワクするプロジェクトを作って欲しい」と話をしています。

小林さんが就任するまでの4年間、CTOポジションが不在だったそうですが、どのような背景でCTOに就任されたのでしょうか?

DeNAは、ゲーム、ヘルスケア、スポーツ、新規事業など本当に幅広い事業ドメインで勝負をしている会社なので、その技術のトップを担うことは、とてもハードルが高いことなんです。そのハードルの高さ故に、不在の期間が4年ほど続いていました。

私自身、そのトップを担える自信があったからCTOに就いたわけではありません(笑)ただ、横断的に組織と関わってきた中で、誰よりも、エンジニアの取り組みを社内外に発信することや、エンジニアの言葉を理解している立場の人が経営メンバーとしていることの必要性を強く感じていました。

そのような面白い取り組みが発信出来ていない現状への勿体なさやもどかしさを、守安(DeNA前社長)にぶつけてみたところ、「じゃぁ、あなた(小林さん)がやってみなさい」と。CTOに就任することになりました。

弊社の特色として、自分が提案した課題に対しては、自ら責任を持って実行していくところがあるので、今回もそのような流れだったと思います。

また、執行役員に就任して1年ほど、守安に色々と意見する機会も多かったので、その様子を見て、任せてくれたのかもしれませんね。

CTOになって丸3年。「会社に必要なことを全部やる」精神で、開発、採用、研修、広報と全方位的に関わる

事業が多岐に渡っていますが、どのような携わり方をされているのでしょうか?

大きく分けると、7つの業務に分かれています。

①開発

スピード感を持って取り組むために、開発は各事業部のマネージャーに任せています。その中で、解決できない点や経営という観点から見た時に課題と感じる点を中心に支援しています。

②システム本部

全体のマネジメントに携わっています。この部門は、AI、品質管理インフラ、カスタマーサポートなどが集まっており、予算規模が大きいです。そのため、いかに事業に貢献できるか、いかにコストを抑えられるかなど、成果を上げていけるようサポートしています。

③経営

他の常務執行役員と一緒に大きな意思決定をしていき、取締役会に対して提案するということを行なっています。

④採用

新卒と中途どちらも力を入れて取り組んでいます。新卒採用という観点でいうと、私と人事とチームを組んで、採用のプロセスを決めたり戦略的なところにも携わっています。中途採用の場合、事業部にリクルーターを置いて事業部ごとに採用をおこなっていますが、DeNA全体として同じ意識を持ってもらえるように、統一に力を入れています。また、新卒も中途も面接の対応をしています。

⑤広報

広報チームと連携し、技術的なプレゼンスを上げていくためにどう動くか考えています。

⑥新規事業の立ち上げ

去年の秋くらいから、新規事業の立ち上げに携わっています。プロダクトや人事施策的な観点で色々と取り組んでいます。

CTO室

社内のモノづくり環境を良くするチームとしてCTO室を置いています。中のエンジニアがいかに快適な環境で開発をおこなえるか、今、齟齬を感じているところをどう解決してくかという取り組みを行っています。

CTO室には、どのような方々がいらっしゃいますか?

人数は8名程で、一部兼務しながら携わっています。

目安箱を設けて、エンジニアから意見を集めて、その声をもとに社内における開発環境の改善に取り組んでいます。通常の目安箱は、運営側だけが知っているというような運用方針ですが、弊社の場合は、全てのエンジニアに可視化されているという特徴があります。

内容によっては、法務、広報など様々な部署の人とコミュニケーションを取らなければいけないので大変な業務ではありますが、「エンジニアのモノづくり環境、技術を発信していきたい」など、”エンジニアリングをするためのエンジニアリング”に興味を持っている人が集まっていると思います。

その他、エンジニアのために様々な研修も開催されているそうですね。

はい。この辺りは、私が会社としてやるべきだと思ったものをテーマにして行なっています。

例えば、プロジェクトマネジメント研修。一つ一つのプロジェクトの精度を上げていくためにも、プロジェクトマネージメントのスキルを底上げする必要性を感じました。 シニアのプロジェクトマネージャーに研修コンテンツの設計を任せ、これまでに複数回の研修を実施しています。 PMBOKをベースにした研修とアジャイルやスクラムをベースにした研修を組み合わせており、 ハイブリッドなプロジェクトマネジメントができるよう、毎回研修もブラッシュアップしています。

また、最近では業務委託を使うことが増えているため、業務委託研修を始めました。正社員とは違うので、外部のパートナーと上手く関わっていく方法やどのような業務体制にすべきかなどを盛り込んでいます。

スローガン「DEQ」を土台にDeNAの文化形成に励む。失敗を許容し、沢山のチャレンジができる柔軟な組織を目指す

DeNAのエンジニア組織のスローガン「DEQ」から一部抜粋
2019年4月のCTO就任以降、エンジニアのスローガン「DeNA Engineer Quality(以下、DEQ)」を作成していますが、これはどのような背景で作られたのでしょうか?

弊社は、本当に幅広く事業を展開しているが故に、異なる事業部の面白い取り組みや異なる事業部のエンジニアのチャレンジを知らなかったりという状況に陥りがちです。

もともとDeNAのメンバーは、近しい考え方を持って入社されているので、例えばゲーム事業部からライブストリーミング事業部へ異動したりなど、柔軟性のある働き方が実現できます。メンバーにとっても、1つの会社で色々なチャレンジができる方が良いですしね。

しかしそれを実現するためには、DeNA のエンジニア全体としての文化形成をしっかりしていく必要があり、その土台を作るために「DEQ」を作成しました。

どのようにして作りましたか?

推進していたコアなメンバーは、4名ぐらいです。その上で、エンジニアボード(技術のマネージャ陣が集まった会議)で議論をしたり、各事業部の方と話をしながらブラッシュアップしていきました。

新型コロナウイルスの影響でリモートワークは主流になってきましたが、オンライン上で、文化形成を行う中で工夫している点を1つ教えて下さい。

対面時と比べて、コミュニケーションにギャップは発生すると思います。

リモートワークのコミュニケーションは、「テキスト」「言葉」の2つになりますが、「テキスト」のコミュニケーションは、人柄を知っているか知っていないかで伝わり方も大きく変わってきます。そのため、不都合があったら、必ず、音声ツールを使って「言葉」で話そうという姿勢で運営しています。

最後に、これから小林さんが成し遂げたいことや個人的な夢を教えて下さい!

1つ目が、DeNA の中で新しく柱となるような新規事業をしっかり作っていくことです。先ほども述べましたが、CTO管轄で、新規事業の開発部門を立ち上げたため、そのメンバーたちと切磋琢磨しながら良いプロダクトを生み出し、会社に貢献していきたいです。

2つ目が、私自身、新卒採用に関わっている中で、若手のエンジニアを増やしていくことの必要性を改めて感じました。これは、弊社だけの問題ではなく、日本の社会全体の課題です。これらを課題に取り組む方々と一緒に未来の担い手を育成し、DeNAの将来、日本の将来を明るくしていきたいです。

色んな人のおかげで今の私があるように、私自身、担い手育成に貢献することで、世の中に少しでも恩返しをしていけたらと思っています。

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