【ユアマイスターCTO 星氏】インターンを戦力化するスタートアップ企業。そのエンジニア組織の教育法とは?

本日は、大手企業の楽天からスタートアップ企業であるユアマイスターへ飛び込み活躍するCTO 星 永亮氏に、CTOになるまでの経歴やエンジニア組織の教育についてお話を伺いました!

ユアマイスター株式会社 CTO 星 永亮氏 プロフィール

2010年3月 東京大学卒業後、2010年、学生時代よりインターンを経験した楽天へ入社。入社当初は楽天カードの会員向け専用サイト「楽天e-NAVI」の開発を担当し、2013年12月に全社員対象の月間MVPを受賞。その後、新サービス開発カンパニーインキュベーションオフィスにおいてテクニカルディレクターとして、飲食店検索アプリ「Rakoo」等を担当。主に企画立案・運用マネージメント・プロダクトマネージメントに従事。2016年8月、スタートアップ企業のユアマイスター株式会社に入社。現在は、CTOとして開発部門のマネジメント、採用、チームビルディングに従事。

未経験からラグビー部へ入部。チームワークの楽しさを知る

Q.社会人になるまでのご経歴を教えて下さい。

高校時代は、勉強メインの学生生活でしたので、漫画によくあるような青春を感じる体験をしたいと思い、大学では未経験ながらラグビー部に入部しました。

入部して3年目が終わる時、チームというものを強く感じるエピソードがありました。大学を辞めて別の道へ進もうと思った時期があり、部活の仲間に辞めるということを伝えたんです。そうしたら、めちゃくちゃ怒られたんです。(同じ部活の仲間から)「一緒にずっとやれると思ったのに。」「最後まで一緒に頑張ろう。」「最後までやってから新たなチャレンジに挑んだ方が、きっと良い結果が得られるよ。」と色々と説得されました。

この時、必死に止めてくれた仲間を見て、私一人欠けることの大きさや、チームの団結力に凄さに心が動きました。結局、学校も部活も辞めずにそのまま卒業しました。なんというか、家族以外に信頼できる仲間ができたという感覚でしたね。この経験から、今後社会に出てからも、このような信頼を築ける仲間をいっぱい作りたいなと思うようになりました。現在も、1人で凄い人間になりたいというよりは、チームで問題解決したり、強いチームというものに憧れていて、そういう組織を作る人間になりたいと思っています。

インターンの経験から成長できる環境だと実感し、楽天へ入社

Q.社会人1年目で楽天へ入社されていますが、入社までの経緯を教えて下さい。

大学時代に楽天のインターンに1週間参加しました。当時インターンには、開発職とプロデューサー職の2つの職種があり、私はプロデューサー職を選択しました。プロデューサー職というのは、企画や事業担当者との調整などが主な業務で、今風の言葉でいうと、プロダクトマネジメントの役割でした。初日から学生1人につき、担当社員が1人つき「1週間で企画しましょう!」という内容でした。毎日レビューがあり、指摘され、やり直しというような厳しい環境でした。

私は、環境にすごく影響を受けやすいタイプでしたので、成長できる環境に身を置きたいなというのが就職先を決めるうえで1つありました。
そのため、楽天の1週間のインターン経験は、すごく褒められもしなかったのですが、学生扱いすることなく、いち社員として接してくれるような仕事に厳しくて真剣な人が多いということを実感でき、このような環境ならきっと成長できるなと思い入社を決めました。

楽天では、入社3年で月間MVPを受賞!

Q.MVPを受賞したプロジェクトの詳細を教えて下さい。

楽天カードのDU(Development Unit:システム部)に所属していた時です。全社員の中から、ひと月に1人受賞する賞で、表彰された時のプロダクトは4~5名のメンバーで作っていました。私のポジションは、やりたかったプロデューサーの役割が半分、エンジニアの役割半分でした。

Q.その中で、星さんがMVPに選ばれたポイントは何だと思いますか?

企画と実装両方できたことはポイントだったと思います。

当時、ウォーターフォール開発をベースに開発していたので、一人でやることで仕様書~実装までの間を飛ばせました。そうすると、自身でコードに落とせるので期間は1/2に減らすことができました。また、なんとかスコープを狭めたり、得意な人をアサインするなどすると、結構しっかりできて、普通3ヶ月かかるものを1ヶ月で作りあげました。

今でこそアジャイル的な開発手法は主流ですが、当時はあんまり楽天のなかでも浸透していなかったので、新鮮な取り組みだったと思います。加えて、楽天カードは金融システムという、「試しに出してみて反応みよう!」というのが難しい商材でしたので、そのような中で、できたのは大きかったです。

新規事業の部署で、社内ベンチャーを経験

Q.その後新規事業の部署に移られていますが、移るまでの経緯や仕事内容を教えて下さい。

-A.想像してたより泥臭かったです(笑)

当時、楽天では、若手社員の中から新規事業立ち上げプロジェクトに参加することができるチャンスがありました。そして、面接を受けてみたらすごく面白そうな感じだったので、その部署でに異動することにしました。もともと、独立した事業に携わってベンチャー企業みたいな環境でプロダクトづくりをやりたいという志向は持っていましたので、プチベンチャー気分を味わえるというようなことをやってみたいなと思いました。

この時点から、開発職(エンジニア)としてのキャリアは一旦ストップし、事業立ち上げをやり始めたという感じです。当時、2~3名のメンバーがいましたが、社長室直下の部署で、開発部隊は持っていなかったので、手伝ってくれる開発の人を見つけるところからのスタートでした。社内で持っている自身のコネを使って、色んな開発部へ営業しましたね。いろんな事業部に顔を出し、「予算はあるんですよ!」と言いながら(笑)

当時、担当していた事業のミッションは、「O2Oという領域で新しいサービスを構築しよう。」でした。
楽天で実証実験としてやっていたBluetoothのビーコンをお店に置いたら、プッシュ通知が届くというものを作っていて、丁度、二子玉川へ会社が移転した時期だったので、会社の近くの高島屋などに営業しました。当時、私がプロジェクトの中で一番若手だったので、ビーコンの段ボールを買ってきて、一つ一つ設定するというようなことをやっていました。別に電池を入れて、電波を図って、お店に設置してということまでやりましたね。

新規事業の立ち上げは、ExcelとかPPTを使って、事業計画を話すみたいな恰好良いものを想像していたんですが、実際は意外と泥臭いことの方が多かったです。(笑)

Q.新規事業を経験して学べたことはありましたか?

-A.自分で自分のできることに制限をかけていた事に気づいた

「こんなサービスやるので皆さん使って下さい!」と社内の食堂で配ったりなど、社内営業もしました。実際、やるまでは、なんのアイディアもなかったのですが、やってみたら簡単なんですよ。「全社メール送っちゃえばいいんじゃない?」とかだんだんアイディアがでてきて。社内ベンチャーという守られた環境ではありましたが、結果、少しルールなしでやるというのは体験できたなと思っています。

大きな企業で働けば働くほど、勝手に自分の中で制限を持ち始めていた自分にも気づいていて、誰からもやってはいけない、こうしたほうが良いなど言われていないのに、自分の中で制限を作っていたなぁと思いましたね。

スタートアップ企業ユアマイスターへ飛び込む

Q.ユアマイスターへ入社しCTOになるまでの経緯を教えて下さい。

もともと弊社代表の星野とは、楽天の同期でした。楽天で働いていた時は、挨拶をする程度の関係で、一緒に仕事をすることはなかったです。けれども、星野は、楽天市場という主力事業にいて、月間MVPを獲る等功績を残していたので、同期の中でもベンチマークしていた存在でした。

そんな折、星野が楽天を辞めて起業したという話を聞いて2~3ヶ月位経ったころ、星野から連絡がきて、もう1人の創業メンバーと3人で食事をすることになりました。

その場で、創業メンバーの2人が目をキラキラさせながら「こんなサービスを作っていくんだ。こういう会社にしてくんだ。」という話をしていて、感銘を受けたんですよね。
会社のビジョンは綺麗事だと思われることもあるかもしれませんが、真剣に語る姿に心を打たれやる気になりました。

ただ、当時、結婚しており子供もいたので、「家族の了承だけ取らせて欲しい。」とその場で返信しました。一週間後に丁度私の誕生日だったので、「さすがに私をお祝いしてくれているので、このタイミングで言えばいけるだろう!」と思い、誕生日に転職の話を切り出しました。(笑)

妻は、もともと私が起業志向があることは知っていたので、やっとその時がきたかという感じの反応でしたね。(妻には)「もったいない気持ちもある。」と言われましたが、私自身は飛び出す時すごく気持ち良かったです。

何故なら、(上司をみて)自分が40代くらいまでここにいたらこういう風になるだろうな、こんな仕事しているだろうなというのが想像できました。と同時に、もしこのまま40代くらいまで働いていて大事な役割やポジションに就いていたら会社員として他のところで働くのが怖くて辞めれなくなるだろうなと思ったからです。

そうしたら、30代の早めに新たな道で経験を積むチャレンジをした方が、自分の身に何か起きた時に、自信を持っていられるだろうなと思いました。また、前職の同僚たちも応援してくれたので、あまり未練も不安もなく、スタートアップに飛び込むことができました。

Q.何故、星野さんは星さんを誘ったと思いますか?

私が入社する前のユアマイスターは、外部の会社がシステムを開発していて、社内にエンジニアがいない状況だったのですが、今後の成長のことを考え、内部に開発部隊を置こうと考えたそうです。

そこで、まず最初の1人目を採用する際は、「マネージメントができる人を探していた。」という事はよく言っていました。各部署(営業も開発も)、プレイヤーとして最前線というよりはマネジメントとしての経験をしっかり持っている人を先に置いて、その後の2人目からはプレイヤーとしてできる人を置いていきたいと考えていたそうです。

私自身、前職ではマネージャーもやっていましたし、新規事業の立ち上げでは事業側の考え方とかも経験していたので、丁度良かったのではないでしょうか。

マネジメントを勉強した人がマネジメントをやるべき。実践が最も重要

Q.CTOになったのはいつ頃ですか?

入社後、すぐのタイミングでした。といっても創業時は私とインターン1名体制だったので、当時は名ばかりのCTOでした。(笑)その後、2~3年で売上が徐々に増えていき、チームをマネジメントしたり、会社や技術組織の未来を考え始める時期が来てそれから本格的にCTOの役割を担うようになっていきました。

Q.CTOになって何か勉強はしましたか?

CTOになる前の楽天の新規事業の部署に所属していた時から勉強を始めましたね。
マネジメントのセミナー行ったり、ファイナンス(会計)の勉強をしたりました。ファイナンスは、本で読んだだけですが、組織を構成するうえで経営陣との共通認識は持っていなければいけないなぁということで勉強しました。

Q.マネジメントで、為になった本やセミナーがあれば教えて下さい。

「エンジニアリング組織論への招待(広木 大地著)」はすごく刺さりました。
本が出る1年ほど前から、広木さんのセミナーへ行ったり、Qiittaの記事も読んでいましたので、本は発売してからすぐに購入しました。自分が経験した身近なテーマを問題としていることが多かったので、面白かったです。

例えば、アジャイル(スクラム)の開発の仕方をテーマに掲げて、それを数値的な側面から、良いアジャイルの開発と悪いアジャイルの開発という風に科学的に証明していたりして、為になりました。

またその本をきっかけに、エンジニアリングマネージャーのコミュニティに参加したりしました。ここには、エンジニアリングマネージャーという肩書の人が集まるのですが、色々な考え方の人や様々な悩みを抱えた人達がいました。「やりたくないけどやってます。」と言う人がいる一方で、「マネジメント大好きです!」みたいな人がいたり、マネジメントといっても評価に悩んでいる人やマネジメント自体に悩んでいたりと、マネージャーがマネジメントを解決する時の知見をため込もうとする機会は新鮮でした。色んな相談をみんなでし合うのですけど、結局課題はそれぞれ違うので、解決策はそれぞれなのですが、話すことによって選択肢も広がるのでとても良いと思っています。

また、私はマネジメントを勉強した人がマネジメントをやるべきだと思っていますし、エンジニアリングを勉強した人がエンジニアリングをやるべきだと思っています。勉強といっても学問的にやるというよりは、ちゃんと実践も出来ているのかというのが大事だと思っています。どれだけドキュメントを読み、どれだけ手を動かしたというところが大事なポイントだと思います。

インターンを戦力化し、社員の成長も高める

Q.現在の開発チームの体制を教えて下さい。

現在、エンジニア部門は、社員5名、インターン2名の計7名です。多い時期にはインターンが5名いて、社員の人数比が1:1の時もありました。弊社は創業当時からインターンを採用していましたが、初めは上手く戦力化できていなかったですね。正直、「大学生でしょ?」という感覚で接していました。しかし、他のチームで、社員より結果を残しているのを見て、考えを改めないとなと思いました。

Q.インターンには、どのような教育をしていますか?

インターンをする上で大事な事や成長のルールみたいなのは文章化されています。まずその資料で説明し、その後メンターがつくという形です。 エンジニアに関しては、特に技術的なことを目的に入ってくる人が多いので、必要な知識を30~1時間定期的に話をしてあげるだけでも満足感を得てもらえたり、次こういうのやりたいとかもいってくれるようになったりしています。

また合わせて基礎というのも教えています。基礎といってもWEBサービスを提供するうえで、サーバーの裏側で何が起きていてというように、プログラミング言語を学ぶ時に必要な背景を教えるという感じです。また、技術のキャッチアップなど本人がもっとやりたいという場合は、しっかりサポートします。半年くらいやってきたインターン生には、画面リニューアルとかをどさっと課題を渡してインターンだけでやらせてみたりとかも試みています。

その他、体系的なものだと毎月締め会を実施し、当月の振り返りや翌月の方針を固めたりしています。また日報も取り入れていて、自分のチームの人に返信するのはもちろんのこと、インターン同士で返信もしていたりします。3月にはインターン生の卒業式もやります。店を貸切って、卒業証書読むとか私が漫才やって滑るとか。(笑)そういう風にして「インターンも、ちゃんと会社にとって大事な存在だよ。」というのを伝わるようにはしています。

Q.教育するうえでのポイントを教えて下さい。

ポジティブな意見もネガティブな意見もきちんとフィードバックする

また弊社は、“Feedback is gift”という言葉を行動指針として大事にしています。

フィードバックの際は、ポジティブな面もネガティブな面もどちらも言ってあげるのが良いと言われています。わざとネガティブなものを捻出する必要はないのですが、その人の次の姿というのを想像して接していれば、絶対に足りない部分というのは出てくると思います。一方、出来ていないことばかりを伝えると、やる気なくなっていくのが人間ですから、そのバランスが大事ですよね。

競争を楽しみながら仕事をする

業務で何かを取り入れたり実行する際には、“競わせる仕組み”を作ることもあります。

個人的にはDevOpsとか色んなものを自動化するところに興味があるので、自動化されるの嬉しいなと思っている人間です。最近で言うと、リリースの回数をGitHubで管理し、コミット数を色分けしています。みんなが見えるところに貼っておいて、緑(コミット数が多い時の色)が多くて良かったねと言う風に見ています。

こういう仕組みは、続かないと意味がないので、初めからツールに頼ることはありません。ホワイトボードなど手動でやってみて、それから自動化していくみたいな形でやっています。また、出来た事や出来なかった事を、見えるところに置いておくというのも大事です。煽るというやり方はあまり好きでないので、見えるところに置いて、競争心に火をつけたり、会話のきっかけにしています。

インターンを実施する最大のメリットとは?

インターン生にアウトプットすることで若手社員の成長機会を創出できること

正直、インターンは、開発はアウトプット面までいかないと戦力にならないので、長続きしない人ばかりだと厳しいですが、目標設定と振り返りを定期的にやることで出来るだけ長続きできるようにサポートしています。

すると、インターン生の1~2割が過去インターンに通っていた友人の紹介で訪れるようになりました。紹介できた友人は、「弊社のインターンに参加してから変わった。」、「仕事ってこうだよねという話をするようになった。」などの変化をみて、自分も成長したいと思って来てくれているので、インターン生の成長を実感しています。

また、弊社の若手社員がインターン生に教えることで、アウトプットする機会が増え、若手社員の成長に繋がるというところはインターン生を実施する大きなメリットですね。

■星氏のおススメのビジネス本
・エンジニアリング組織論への招待/広木 大地 (著)