ベルフェイス新CTOが掲げるエンジニア組織のDX戦略とは?

山口 徹|ベルフェイス株式会社 取締役CTO / CPO

東京工業大学工学部電気電子工学科中退後、2003年より、インターネット業界でWeb制作会社のソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを歩む。2005年に株式会社ガイアックスにおいて、リードエンジニア、マネージャーとして、大規模サービスでのオフショア開発、自社サービスや B2B2C のサービスの開発を行う。2007年よりサイボウズ・ラボ株式会社において R&D エンジニアとして、OpenID やブラウザ拡張の研究を行う。2009年より株式会社ディー・エヌ・エーにソフトウェアエンジニアとして参画。2015年に同社オープンプラットフォーム事業本部の事業副本部長に就任。大手ゲーム企業とビジネス提携における開発責任者を務める。2016年度にシステムアーキテクト領域における専門役員就任。2017年度末に専門役員を退任。2018年10月より、同社スポーツ事業本部システム部部長。横浜DeNAベイスターズをはじめとしたスポーツ事業に関連するシステムの統括を担う。2020年12月 ベルフェイス株式会社に入社。CTOとCPOを兼務。2021年4月より、同社取締役執行役員就任。

ベルフェイス株式会社について

まずはじめに、御社の事業内容を教えて下さい。

弊社は、「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し企業に新たなビジネス機会をもたらす」をミッションに、オンライン営業システム「bellFace(ベルフェイス)」を提供しています。

同システムは、いわゆる営業活動のDXを推進するSaaSサービスで、具体的には、見込み顧客との商談や、契約のプロセスをオンライン化し、営業の効率化を目指しています。2015年にサービスをリリースして以降、導入社数3,000社(2020年5月時点)を突破しています。

父親にゲームを捨てられたことをきっかけに、ゲーム開発に目覚める

ここからは山口さんのキャリアについてお伺いします。最初にインターネットやプログラミングなどへ興味を持ったきっかけを教えて下さい。

中学生の頃、MSX2+を買ってもらいBasic(プログラミング言語)を始めました。きっかけは、小学生の頃。当時は、ファミコン全盛期だったため、僕も例外なくファミコンで遊びまくっていたんです。すると、父親にファミコンを捨てられてしまって。「なんだったら、自分でゲームを作ってやる!」と思って始めました(笑)当時は、雑誌にサンプルコードが載っていましたので、そこに載っているサンプルコードを真似しながら開発していました。

それから、大学受験のため、一時プログラミングは中断していましたが、大学入学後、講義の中で自分のWEBサイトを作る機会があり、そこでHTMLなど学びました。

大学中退。アルバイトからエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた

東京工業大学工学部電気電子工学科を中退されてソフトウェアエンジニアになるまでの経緯を教えて下さい。

大学に入学してからは、学業に対して熱意がなくなってしまったんです。そのため、卒業に必要な単位が足りず、自主退学の道を選ばざるえなかったんです。今思えば、「こうしておけばよかった」と後悔することもあるんですが(笑)

大学を中退してから約1年間はアルバイトをしながら、趣味の一環で、独学でプログラミングをしていました。その時に「もしかしたら、ソフトウェアエンジニアとして生きていけるのではないか?」と思い、インターネット業界でWeb制作会社のソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートしました。如何せん、社会人経験もエンジニア経験もなかったため、最初はアルバイトからのスタートでした。

その後、ベルフェイスに出会うまでの間、どのようにキャリアを積んできましたか?

アルバイトから、契約社員を経て正社員になり、一通りソフトウェアエンジニアとしての力もついてきたので、2005年、株式会社ガイアックスに転職しました。リードエンジニア、マネージャーとして、大規模サービスでのオフショア開発、自社サービスや B2B2C のサービスの開発など様々な開発に携わりました。

ここで、SNSのようなコミュニティサービスを手掛けていたのですが、当時、コミュニティサービスはブログからSNSへシフトする転換期でした。ブログが1対多数であるのに対して、SNSはn対nのコミュニケーションを行うもので、要求されるアーキテクチャーや技術は、ここで大きな革命が起きました。

今後も、もっとこの分野を追求したいという気持ちが強くなり、R&Dエンジニアとして経験が積めるサイボウズ・ラボに転職しました。といっても、研究室なので事業と直結しません。今後のキャリアを考えた時に、これらの技術をもっと事業に活かせる環境に行った方がいいだろうなと思い転職を考え始めました。

当時、SNS上でアプリケーションプラットフォームを構築する仕組みであるOpenSocialが流行り始めており、これらを実現できそうな会社の1つとしてディー・エヌ・エーが選択肢に上がりました。

当時のディー・エヌ・エーは、まだテクノロジーの会社という感じはあまりなく、最初の皮切りとして入社し、変えていくことができる環境はとても良いなと思いました。

また、当時、モバイル自体が公式サイトではなく勝手サイトだったので、収益的にポテンシャルが大きいのではないかと思い、収益化に貢献できるというのも決め手になりました。

任天堂との業務提携は、仕事観に大きな影響を与えた

ディー・エヌ・エーでは、どのようなことを経験されましたか?

基幹事業となるフィーチャーフォン向けの OpenSocial 環境である Mobage Open Platformを、チーフアーキテクト兼リードエンジニアとして、短期間でローンチしました。その後 、Mobage(携帯電話向けのポータルサイト兼ソーシャル・ネットワーキング・サービス) におけるYahoo!Japanおよび、mixi(ミクシィ) とのビジネス提携や任天堂との業務提携を経験しました。

その中で、特に思い出に残っていることを教えて下さい!

一番、思い入れがあるのは、任天堂と資本業務提携した時です。僕が立ち上げ初期に関わった唯一のエンジニアで、資本業務提携に至る初期の提案から協議、提携発表までの間、同時並行で様々なシステムを開発しました。これは、僕のソフトウェアアーキテクトとしての仕事の中で、最も大きく、最も面白い仕事でした。

様々なレジェンド達とお仕事する中で、ゲームクリエイターの坂本賀勇さんの働き方が今の僕の仕事に大きな影響を与えました。

坂本さんとは、スマートフォン向けアプリ『Miitomo』というアプリの開発で関わったのですが、「消費者に対してどういうゲームを目指していきたいか」という問いに対して、常に、シンプル且つ普遍的な考えを持っていらっしゃいました。

坂本さんは、面白いコンテンツを作ろうという感じではなく、「周りについ教えてしまいたくなるようなクスっと笑ってしまうこと」をとても重要視していて、常にそれに沿った動きをしていました。

この考えは、任天堂の社長の岩田さんや任天堂社員が大切にしていると話ではよく聞いていましたが、普段から実践されていることを肌で感じることができました。

僕もそれなりにこだわってきたつもりでいましたが、やっぱり自分の価値観や常識を打ち壊すぐらいとてもこだわっていたのを今でも覚えています。

2015年、オープンプラットフォーム事業本部の事業副本部長に就任されましたが、経緯と変化について教えて下さい。

2015年に事業本部の副本部長になったことで、どこかのプロダクトチーム内の1つの役割というところから、事業本部全体を見る役割に変化しました。それから、少しずつマネジメントにも関わるようになり、僕のエンジニア人生の中で一つのターニングポイントになりました。当時、ディー・エヌ・エーでは、ソフトウェアアーキテクトとして、ある程度やれるところまでやり切ったという気持ちがあったので、マネジメントへ軸足を移した方が良いなと思っていました。その後、専門役員になり、組織運営や経営といったところに携わるようになりました。自分自身も興味を持ち始めていたので、良い選択だったと思います。

2018年、ゲーム事業からスポーツ事業へ異動されましたが、何故でしょうか?また、スポーツ事業部ではどのような業務に携わりましたか?

専門役員時代、「スポーツ事業部で開発案件に課題があるので解決して欲しい」というCEOの依頼が事の発端でした。

スポーツ事業部の組織の状況を色々見ていく中で、「これは組織作りからしっかり立て直した方が良いな」と感じたので、自ら異動願いを出しました。これまでは、スペシャリストとして色々やってきましたが、組織づくりもやっていきたいと思うようになっていたんです。

技術顧問を経験する中で、スタートアップへの関心が高まった

2020年12月 ベルフェイスへ転職するまでの経緯を教えて下さい。

2017~18年頃、次のキャリアを模索するため、技術顧問業を始めました。最初は大学の同級生が創業者だったオイシックス・ラ・大地様の技術顧問を担当し、その後も色々な企業とご縁があり、スタートアップも何社かお手伝いさせていただきました。

その中で、スタートアップの目標に向かって進む姿やスタートアップならではの課題を見ていくうちに、「次はスタートアップで働きたい。責任ある役割を果たして大きなビジネスインパクトを残したい」という気持ちを強く持つようになりました。

それから、業務委託の形式で何社か働いた中で、良いと思えたのがベルフェイスでした。

ベルフェイスへ転職を決めた、決め手は何でしたか?

ベルフェイスに決めた理由は、大きく3つあります。

1つ目が、社長である中島の人間性に惹かれたこと。社長の中島が人として面白いということ。2つ目が、ボードメンバーと馬が合うと思えたこと。そして、3つ目は、事業にポテンシャルを感じ、テコ入れのしがいがあると感じたからです。具体的には、プロダクト組織開発において、カルチャー面や制度面、組織デザインなどの真っ先に直さなければいけないと思うような課題がありました。

ベルフェイスへCTO/CPOとしてジョインし、根本課題にテコ入れ

ベルフェイスの組織図(HPから引用)
ここからはベルフェイスの組織についてお伺いします。まず初めに、現在の開発組織の体制を教えていただけますか?

ベルフェイスの開発組織は、「プロダクトグループ」と「システムグループ」の2つのグループから成り、正社員ベースで70名程の組織です。その他、業務委託やパートナー企業がいるという体制です。

1つ目の「プロダクトグループ」の役割は、大きく分けると、プロダクトマネジメントとテクニカルプロダクトマネジメントの2つです。テクニカルプロダクトマネジメントとは、プロダクトマネジメントの中でもテクニカルフェーズにフォーカスを当てた職種で、プロダクトオーナーとも呼ばれる方達です。

2つ目の「システムグループ」の役割は、ソフトウェア開発とシステム運用です。さらに、システム運用は、SREとクオリティコントロールとセキュリティの3つに分かれています。

入社当初の組織課題を教えて下さい。

入社当時は、組織課題として技術的課題が無数にありました。

その根本の要因は、「コアプロダクトが内製化されていなかった」ことにあると言えます。一部のパートナー会社にコアな部分の開発をお願いしていましたので、社内の開発組織が受託開発に近い組織になっており、社内エンジニアが育ちにくい環境になっていました。

一方で、創業から5年ほど経ち、システム自体も古くなってきました。徐々にコードを修正していかなければいけないのですが、紆余曲折を経て、頓挫し放置された状態が続いていました。

それらの課題に対して、どのように取り組まれていますか?

1つ目は、コアプロダクトの内製化です。その道筋については、2020年12月の時点で決めていましたが、社長を説得し協議したあと3ヶ月後に内製化が決定しました。21年4月から、本格的に人材の採用や必要な機能を社内に備えていき内製化を実現しました。

2つ目は、評価制度を変えました。「ビルドトラップ」とも言われますが、本来、プロダクトはリリースすることが目的ではなく、リリースした後のROIを最大化することに価値があります。しかし、リリースすること自体が目標になってしまうような評価制度と目標設定になっていたため、そこを修正しました。

3つ目は、組織構造です。職能別にチームを再編成し、21年2月からスタートしました。

現在は、開発組織における環境づくりを推進するために、リーン且つアジャイルな組織を目指しています。また、他にも、一連の開発プロセスの型を整備するため、SREやセキュリティーをプロセスの中に入れ込み、上流階級に関わっていく方針に変えたりもしました。

まだ全ては整備しきれてはいませんが、このようなスタイルに変えることで、チームのパフォーマンスをできる限り可視化していきたいと思っています。

例えば、「不具合」についても、その重たさやかかった期間などで、ある程度、組織のパフォーマンスは可視化出来ると思います。

様々な業務がある中で、特に力を入れているものは何ですか?

最近は、特に採用に力を入れており、HRチームとタッグを組んで、毎週振り返りを行っています。

それに伴い、採用の進捗管理を始めました。Notionを使って、次に誰が面談するなどステータスを管理することで知覚的に把握できるようになりました。採用手法についても、「YOUTRUST」や「Meety」を使ったり、様々なものを試しているところです。

エンジニア組織にある非効率をなくしたい

ベルフェイスのエンジニアならではの特徴を教えて下さい。

ベルフェイスは、セールステックのSaaSではありますが、特に最近は、エンタープライズの会社に導入いただく場合が多いです。これらの企業は、導入時に特殊な環境や要件がありますので、その中で「bellFace」をどのように導入していくかといったところを技術的に解決していくという役割を担うテクニカルアカウントエンジニアというポジションがあり、現在も募集しています。

このポジションは、エンジニアとしての技術スキルもそうですが、高いコミュニケーションスキルが求められます。また、現場で吸い上げてきた話を社内の各部署に展開しなければいけないため、難しい領域ですが、その分やりがいは大きいです。開発経験を生かしながら、ビジネスについても学びたいという人にとっては、非常にフィットするポジションですので、是非そういう人がいたら来て欲しいなと思っています!

その他、最近プラットフォーム開発やwebRTCを使った基幹部分の刷新なども計画していたり、とても面白いフェーズです。

最後に、山口さんがベルフェイスでで成し遂げたいことを教えて下さい!

今は、まだプロダクトが未完成なので、自分が描いている理想まで持っていくことが直近の目標です。また、組織として最大のパフォーマンスを出すために、前述したようなプロセスマネジメントや一定の型をきちんと回せるようにしたいと思っています。

その型が上手くワークし始めると、無駄な業務がなくなり、効率が上がります。本質的に、「その人じゃないとできない」をなくして、全ての仕事が顧客のために繋がっていることが可視化できる、そんな組織を目指していきたいです。

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