20代を猛進するCTOに聞く、スタートアップ流組織作りとは?

本日は、26歳にして、会社設立や2度のスタートアップでCTO経験を持つ、株式会社TENTIAL CTO市來さんにお話を伺いました。

市來晟弥(いちき・せいや)|株式会社TENTIAL CTO

中2からプログラミングを始め、18歳でプログラミングコミュニティTECH LOGICS創設。1年で100人、2年目で200人規模のコミュニティまで拡大。プログラミングコンテスト受賞者などを集めた先鋭エンジニア集団・株式会社Far Connectionを設立。株式会社ZEALSのCTOを兼任。その後、株式会社3ミニッツでは4年間、WEB&APPのフロントリードとして立ち上げからGREEグループ入りを経験し、現在株式会社TENTIALのCTOを務める。

株式会社TENTIALについて

御社の事業内容を教えて下さい。

テンシャルは、「スポーツと健康を循環させ、世界を代表するウェルネスカンパニーを創る」というビジョンのもと、2018年に創業しました。創業当初は、スポーツ情報を届けるメディア「SPOSHIRU」の運営からスタート。また、メディア運営で培った健康課題に関するユーザーのデータを活用し、健康課題を解決するプロダクトの開発を行うウェルネスD2Cブランド「TENTIAL」を立ち上げました。インソールやマスクなどウェルネスグッズを有識者の意見を取り入れながら開発しています。最高総トラフィック数で月間700万PVを超えるなど大きく成長を遂げています。現在は、これらのD2Cブランドのノウハウを生かし、ウェルネス市場に特化したECモールの構築に励んでいます。

プログラミングを軸に広がった友達の輪と仕事。外の世界のを知り、大学を飛び出すことを決意。

はじめに、市來さんがインターネットやプログラミングへ興味を持ったきっかけを教えて下さい。

中学生の頃、まとめサイトが流行っていたんです。その影響で、まとめサイトを自分で作るために、独学でプログラミングの勉強を始めました。

それから高校時代はサッカーに熱中し、大学も理系ではありましたがプログラミングとは全く関係のない経営系の学部に進学しましたね(笑)僕の中で、プログラミングは独学で学べるものだという意識があったので、大学は友達作りを優先して選びました。

しかし、大学は、正直とても退屈で、「この時間、何かをやらなければもったいない」と奮起し、自分の得意なことや好きなことを振り返った先に、プログラミングがありました。それからは、本格的にプログラミングと向き合い始めましたね。

勉強の効率を上げるために、「TECH LOGICS」というプログラミングサークルを校内で創設しました。とはいっても、当時は、今ほどプログラミングの人気はなく、大学内だけでは十分なメンバーは集まらなかったので、全国に広げてインカレサークルにしました。さらに、Twitterで知り合ったプログラミングをしている高校生や中学生たちも参加するようになり、いつの間にか大学の枠を超えた200名規模のコミュニティに変わっていました。

具体的に、コミュニティ内でどのようなことをされていましたか?

オンラインでの情報共有はもちろんですが、TECH LAB PAAKというリクルートが運営しているスタートアップ施設にも採択されてみんなで集まって各々の作業したりもしました。また、趣味で一緒にサイトを作ったり、企業から仕事を請け負うこともありました。趣味で学ぶことも、もちろん大事ですが、実務で学べることは大きいと思っています。

案件は、友達経由で殆ど獲得していましたね。営業は得意ではないですが、友達は多かったので、営業の友達や受託の営業会社の方々と繋がって、お仕事をいただくようになりました。

その後、サイバーエージェントでインターンを経験されていますが、参加された経緯を教えて下さい。

これまで、コミュニティの範囲内だけの世界しか知らなかったので、もっと世界を広げたいと思ったのが、インターンへ応募した理由です。インターンの面接では、生意気にも「自分よりすごいエンジニアと出会いたい」と言っていましたね(笑)いくつかポートフォリオを見せて、ディスカッションや面接を行い、19歳で合格しました。当時としては最年少でした。

インターンはいかがでしたか?

インターンでは、「フロントエンドキャンプ」というイベントがありました。「学生生活を一転させるアプリを作れ」というお題に対して、3人1組になり、1週間で企画~アプリ開発まで行い、最終日に発表するというものです。

当時、僕は、angularJSのTシャツ来て参加していたので、それがきっかけとなって、沢山の先輩たちから「めっちゃangularJS好きじゃん」と話かけて貰えたのでラッキーでした(笑)サイバーの社員メンターの方と壁打ちする形で進めていき、優秀なチームメンバーに囲まれていたのもありましたが、無事入賞することができました。その体験が今まで外を知らずにいた不確実な自分の自信を大きく後押してくれました。

その後、大学は中退し、先鋭エンジニア集団として株式会社Far Connectionを設立されますが、このような決断に至った背景を教えて下さい。

コミュニティ運営やインターンを経験する中で、外にはこんなにも沢山すごい人がいることを知りました。次第に、このまま大学を卒業するより、中退して自分で何かをやっていった方が自分のキャリアの中で大きな意義があるのではないかと思うようになったんです。例え19歳で起業して、失敗したとしても、自分自身の成長には繋がりますからね。大学は1年通わずに、中退しました。

大人ベンチャーや大手サービスなど、様々な開発環境で得たものとは

Far Connectionで会社の代表を務める傍ら、ZEALSのCTOも兼任されていますが、どのような経緯で務めることになったのでしょうか?

偶然にも、ZEALSとFar Connectionの行政書士が一緒だったんです。2013年当時、ZEALSの代表の清水がエンジニアを探していた背景があり、行政書士の方に紹介いただきました。

お会いしてみると、とてもユニークな方で、事業としても面白いことを色々やっていたのでCTOを引き受けることにしました。

現在のZEALSは、AIチャットなどイケている会社になっていますが、僕が入りたての頃は、受託でマネタイズしつつ、ロボット事業へ投資するというような会社でしたので、受託案件やロボット事業の開発の両方を進めていました。

その後、会社設立後もさまざまな企業の業務へ携わっていますが、特に印象的な出来事があれば教えて下さい。

株式会社3ミニッツでは、4年ほどファッション動画マガジン「MINE」を運営していました。ここは、大人ベンチャーのような組織で30~40代が多く若さと勢いだけの学生スタートアップとは異なる雰囲気でした。クライアントも大手ブランド(SKⅡ、資生堂など)になるため、尖ったことをしつつも、万人が使いやすいものにしなければいけなくて。そのバランスを取るのが難しかったです。

特にアニメーションには、とても苦労させられましたね。今は技術が進歩しているので、簡単に作ることができますが、当時は、端末が一気に重くなったりするため、パフォーマンスを最大限に考慮しながらWEBサイトを構築していきました。

また、GREEグループでの仕事は、多くの方が関わるため、詳細な分析や数値で語る場面が多く、とても学びになりました。単に実装するだけでなく、計測方法や他のサービスとのバランスまで考慮して開発する経験は今でも糧になっています。

その後、テンシャルへ入社を決めた理由を教えて下さい。

テンシャルの代表の中西とは、かねてから知り合いでした。丁度、少し休暇を取りたいと思っていた時期に声をかけていただき、お手伝いするくらいの感覚でジョインしたんです。

しかし、蓋を開けてみると、エンジニア組織は特に、もっと自分がコミットしなければ大変なことになりそうなのが目に見えたので、本格的にジョインすることにしました。僕がジョインする以前からやってきたメンバーへの見え方もあるので、1ヶ月位おいて、それからCTOへ就任しました。

もちろん休みを取りたい時期ではあったのですが、どちらにせよ趣味で毎日コードは書いていたので、全然苦痛ではなかったですよ(笑)

成長を最優先するスタートアップがとる技術負債との向き合い方

2019年の入社当時の開発組織体制や課題について教えて下さい。

入社当初は、副業メンバー3人が運用しており、フルコミットするメンバーもマネジメントするメンバーもいませんでした。そこから副業メンバーの契約が切れるタイミングで、僕とインターン2~3名という体制で再スタートを切りました。

インターン生は、完全なるポテンシャル採用。プログラミングの実務経験はありませんでしたが、僕自身、コミュニティ運営でプログラミングを教えていた経験があったので特に不安はありませんでした。最初の1~2ヶ月、付きっ切りで教えて、成長してもらいました。

同時に、全社的な課題として、技術への理解が低いことがありました。システム開発にどれくらいの期間や費用がかかるかなど分からない状態で進めていたので、急務で取り掛かかる必要がありました。

当時は、開発とインターン教育、全社の技術リテラシーの共有など全本位で動き回っていたように思います。

スタートアップはスピード感が大切かと思いますが、技術負債とはどのように向き合っていますか?

技術負債は、どんな言語やアーキテクチャーを選んだとしても、自分のスキルが上がれば、見つけてしまうものだと捉えています。したがって、自分達が最後まで責任をもって実装し改善し続けられるものであれば、言語もアーキテクチャーも何でも良いと思っているので、細かく言いません。

組織としても、「常に成長していられる組織」を目指したいと思っているので、メンバーそれぞれが壁にぶち当たりながら、たまには相談しながらも基本的には自分たちで解決してもらうことができる環境にしたいと思っています。

そのような思想は、市來さんのどのような経験から形成されたのでしょうか?

昔は、未来のことまで見据えて、こうしたら絶対技術負債にならないという設計があると信じていました。ですが、未踏スーパークリエータの人たちとも一緒に仕事をする環境にいたとき、僕より到底技術レベルが高い人が、技術負債を抱えているという話をされている機会に触れて、「このクラスの人達でさえ、技術負債が起きるのであれば、自分が作ったら絶対起きるじゃん(笑)」と思うようになったんです。

それからは、技術負債は誰が作っても起きるものという前提に立ち、どういう仕組みや文化で解決しなければいけないかを考えた中で、自分で好きなことだったらやり切れるよね、という結論に至りました。

そうすると、意思決定のフローはどのようになるのでしょうか?

抽象的なスタンスや文化は、僕が底上げしていて、実装のところは、エンジニアメンバー皆で考えて作るような体制になっています。組織全体として成長できる環境をつくるという方針は、各テックリードにも伝えているので、メンバー皆がとことん好きな領域まで自由にやり切れる権限を持ち、インターン同士でレビューし合ったり、エンジニアの枠に収まらず事業部を越えてコミュニケーションを各々が取ったりと、好き勝手やりつつも、自発性や事業スピードをエンジニア一人一人が意識して実行する、成長できる環境になっています。

急成長の中で、どのように物事を優先づけして業務に落とし込んでいますか?

“ユーザーファースト”を最優先に考えています。ユーザーファーストで取り組んだ結果、トラフィックスが増えたらインフラの整備をして、インフラや組織の整備して人が足りなくなったら、採用する、というように1歩1歩進みながら、組織を大きくしています。

また最初から、全て見据えることは難しいと思うので、目先のことから積み上げていき、業務に落とし込むようにしています。

ざっくり言うと、大学時代に学んだジャストインタイムのように「必要な時に必要なことを必要なだけ行う」というフローにしています。

往々にしてエンジニアは、「やばい環境にならないとやらない」ことが多いと思うので、余裕を持って戦略的に動かすのはよくないなと思っていて(笑)自分の中では中長期的なイメージをしつつも、チームに落とし込む時は短期的なことをバンバン対処してもらい、その過程で課題にぶつかった時に、また対処してもらう。というサイクルで常に量を熟しながら成長を実感してもらう方針にしています。

テンシャルの現在とこの先目指すもの

現在のエンジニア組織の体制を教えて下さい。

現在は、オンラインストアとECモールの2事業を6名ずつの半々に分けている体制です。メディア「SPOSHIRU」は、現時点では大きな開発はないので、何か起きたら対応するという位置づけです。

市來さん自身は、業務はどのようになっていますか?

開発に関しては、どちらのチームも均等に見るようにしています。ミーティングに参加して、2週間スプリントで優先づけをしながら、取り組んでいます。

採用活動は、全体の1~2割を占めています。今、エンジニアの採用は、スピード感を持って行いたいため、人事等はあまり介さず僕のみが関与しています。それでも、やはりもっとスピードを上げていきたいので、エンジニア採用担当者を作ることも検討中です。

どのような基準でエンジニアを採用していますか?

僕が採用面接で絶対に聞くことは「プログラミングが好きかどうか?」ということです。何故好きなのか、その言語にどれくらい思い入れがあるのかなど細かな質問をして、その度合いをチェックしています。

経歴は、あることに越したことはないですが、今はそこまで重要視していません。それより、ポテンシャルが大切ですね。そのため今は、ポテンシャルを見抜くための審美眼を鍛えながら、日々採用活動に取り組んでいます(笑)

また、ここは他の部署の採用とは違う所かもとは思いますが、エンジニアに関しては面接で、「なにかスポーツやってましたか?」は一切聞いていないんです。最近は、入社した後に「実は、スポーツやってました」と知ることが多いです(笑)

現時点で取り組まれている新たなプラットフォーム開発は、どのような構想ですか?

ECモールは、大きいところだとAmazonや楽天などありますが、そのような大きなモールは商品数が豊富な反面、商品のレビューを細かく読んでいかないと分からないというユーザーのペインがあると思っています。

もともと弊社は、アスリートの方の支援も行っている会社なので、その特性を生かして、アスリートやウェルネスの専門家が商品を選ぶサポートをしてくれるようなウェルネスECモールを作ろうという構想を練っています。僕たちがテンシャルのメディア事業やD2Cブランドで培ってきたノウハウを、他社に還元することでウェルネス業界全体の底上げや先駆けを作りたいと思っています。

現在のエンジニア組織の文化の特徴を教えて下さい。

僕は歴史が好きなんですが、上杉謙信や井伊直政のように、主君ではあるけれど、部下達と一緒に主君も最前線で戦っていく姿勢が好きなので、そんな組織にしたいと思っています。したがって、今はもちろん、これからどんなにエンジニアが多くなってもCTOという役職ではあれど関係なく、1エンジニアとしてなるべく僕自身が、開発チームの中にもどんどん入っていき、議論したり、実装もしたりとエンジニア組織一丸となって進めていきたいと思っています。

また、エンジニア組織は、基本フルリモートで業務を行っています。そんな中でもメンバーはどんどん増え続けていますので、円滑にコミュニケーションが回るように、隔週で担当してるプロジェクト関係なく、全エンジニアが集まるエンジニア定例という場を設け、エンジニア全員で雑談する時間を作っています。そこで最新の技術について話したり、各事業部での細かい実装情報を共有し合ったりして、楽しみながら、成長し合うカルチャーが出来上がっています。

また、昔一緒にコミュニティを運営してきたメンバーが、今、弊社のテックリードを務めてくれています。深い信頼関係を築いてきた方の存在は、とても大きいですね。

その他、組織課題に対して、現在取り組んでいることがあれば教えて下さい。

直近は、弊社のエンジニアのテックや文化を社外に広めていく活動を大切にしています。

広報的な活動は、スタートアップにとっては命になってきますので、発信を増やしていくために最近は、テックブログも始めました。

最後に、これからCTOとして市來さんが成し遂げたいことや夢を教えて下さい。

これは、僕がテンシャルで働いている理由でもありますが、これまでM&Aなどの経験はしてきましたが、上場は経験したことがないので、テンシャルで上場を目指して頑張っていきたいです。上場が全てではないですが、上場を経験するかしないかで経験値や今後の人生は大きく変わってくるかなと思いますので、1つの目標にしています。

あとはビジョン通り「世界を代表するウェルネスカンパニー」として、日本を突き抜け、世界の最前線で通用するようなテック企業にあげたいですね。

\テンシャルではエンジニア採用中!/

CTO/VPoE養成講座のお申し込みはこちら
お申し込み

記事をシェアする

PAGE TOP