職種は一応、エンジニア。サービス思考のマルチCTOが語る、トリビューで成し遂げたいこととは?

小尾勇太|株式会社トリビューCTO

2011年 横浜市立大学 国際総合科学部卒業後、起業。2012年2月 株式会社ほにゃらぼを設立し、ファッションに特化したクラウドファンディングサービスを開始。2013年11月カート株式会社へ入社。新規事業として、キュレーションコマースサービスの立ち上げに携わる。2017年7月株式会社リクルートホールディングスへ入社。新規事業開発室で開発を中心に新規事業立ち上げを複数経験。2018年8月、株式会社トリビューのCTOへ就任し現在に至る。

トリビューについて

はじめに貴社の事業内容を教えて下さい。

美容医療の口コミ・予約アプリ『トリビュー』を運営しています。美容医療の施術を検討されている方が、アプリで口コミやクリニックの検索からオンラインでの相談、カウンセリングや施術の予約まで一括で行うことができます。約50万枚の経過写真や2万件※以上の口コミが掲載され、自分に合った施術やクリニック、ドクターを見つけることができます。

※2021年1月インタビュー時点

モノづくりが好きだった幼少時代。ファッションの道を志すまで

続いては、小尾さんご自身のキャリアについて伺います。小尾さんは、長野ご出身だそうですが、モノづくりに興味を持ったきっかけを教えて下さい。

幼少期には刺繍にハマるなど、物心ついた頃からモノづくりが好きでした。高校まで地元で過ごし、卒業後は横浜の大学へ進学しました。

大学で経営学部を選んだ理由は何でしたか?

何かモノづくりをしたいという想いは持っていました。なかでも、プロダクトやファッションデザインのように自分で考え、作り、売るということを完結できるようなことに興味がありました。ですので、将来的にそういったことに取り組んでいくために、経営を学ぶことは、プラスになるだろうと思い経営学部を選びました。

大学1年の夏頃には、興味のあったいくつかの分野から、ファッションに携わっていこうと決め、ファッションビジネスについての研究もしていました。

大学卒業後、何故海外のの美大への進学を目指されたのでしょうか?

母が海外の大学へ通っていたことも影響してか、海外で学ぶことには昔から興味を抱いていました。加えて、日本でファッションを学ぶ場合は、専門学校が一般的ですが、欧米では美術大学の一つの学部としてファッションを学べるところも多く、そこに惹かれました。いくつかの候補の中から、最終的にはイギリスの学校へ進学することに決めました。

ただ、最終的には入学を辞退し、進学をやめました。入学前に現地で在学生のお手伝いをしていた期間があったのですが、リアルな現場の雰囲気を体感し「ファッションデザインを学ぶことは、自分のやるべきことなのか?」と疑念を抱くようになりました。すでに才能あふれる先輩が多くいる中で、自分はもっと違ったアプローチで、ファッションに関わることができるのではないかと強く感じたためです。

ファッションのサービスをリリースするため起業。営業に、開発に、必要なことは何でもやった

日本へ帰国後、ファッション系の会社へ就職するという道もあったと思いますが、何故起業したのでしょうか?

そう言われればそもそも”就職する”という選択肢を持っていなかったと思います。やりたいこともある程度明確にありましたし、それが「仕事」という感覚もありませんでした。あとは、私の親も親族も自ら事業を営んでいたり活動したりするような人が多く、幼い頃から「仕事とは自分でやるもの」という意識もあったのかもしれません。

起業後、どのようにサービスをつくっていきましたか?

サービスを作る以前にファッション領域で自分ができることに辿りつくために、まずは国内のブランドやデザイナーがどのような活動をしているのかもっと詳しく知る必要がありました。展示会に足を運んで直接デザイナーの話を聞いたり、アトリエに伺わせていただいたりしていました。その中で、ブランドを運営する一番のハードルは、お客様をどのように獲得していくか、売り先をどのように見つけていくか、にあると感じました。お店を持たないブランドが、直接売り先やお客様等の個人と繋がることは、とてもハードルが高いのです。そのため、一番最初は個人のつながりを作りたいという思いから、ファッションに特化したクラウドファンディングサービスを立ち上げました。

サービスの開発はご自身で行ったそうですが、いつどのようにしてプログラミングを学んだのでしょうか?

このサービスをリリースすると決めてから初めてプログラミングを学びました。知り合いにエンジニアがいなかったため、自分で開発することにしたのです。とっかかりとしては無料のオンライン教材「ドットインストール」で動画を見たり、本を読んだりして学んでいました。独学でゼロからの立ち上げはもちろん苦労しました。開発の合間に協力してくれるブランドやデザイナーへの営業もしながら開発をするという生活を半年ほど続けて、ようやくリリースに漕ぎつけました。

すべて独りで開発されたのでしょうか?

ほぼ一人で作りました。ただ、決済を扱っていることもあり、セキュリティ周りには不安があったので、そういった部分は周りの詳しい人に相談しながら開発をしました。また、リリースのタイミングでは、インターンのエンジニアやデザイナーの方に企画や仕上げの部分を手伝って貰いました。

半年後、サービスをクローズされてますが、そう決断した背景と当時の心境をお聞かせ下さい。

クラウドファンディングは、地道に活動を続けていく必要のあるファッションブランドとはあまり相性が良くありませんでした。色々な方に協力していただいていたので、ファンクラブのようなものへ転換していくという方法も1つありましたが、運用していくにはそれなりにお金と時間がかかります。また、当時の私には、事業を作るスキルも足りておらず、そこまでやり切れる自信がなかったためクローズを決断しました。

サービスのクローズに関しては、悔しいという思いより、申し訳ないという気持ちが大きかったです。サービス立ち上げに至るまで、多くのファッション業界の方々が協力してくださいました。そういった方々に恩返しができなかったという思いが大きかったですね。

ベンチャー、大手で新規事業のノウハウを蓄積。エンジニアの枠を超えて、マーケ・デザインなどマルチに活動

その後、2013年11月カート株式会社へ入社されていますが、入社のきっかけを教えて下さい。

カート株式会社は、入社当時ネットコンシェルジェという会社名で、ECサイトのコンサルや運用を行っていました。自分のサービスを運営していた時に、友人の紹介で少し開発のお手伝いをしていたんです。

同社で新規事業としてECサイトのキュレーションサービスを立ち上げるという話があり、クライアントもファッションブランドが多いという文脈から、声を掛けていただきました。

カート株式会社ではどのような仕事をされていましたか?

主に新規事業の開発を担当していました。具体的には、様々な事業者が自社のECサイトの商品を登録でき、サービスに登録された数十万点の商品から毎日おすすめの商品をユーザーに応じて配信するサービスを開発していました。私が入社した時には、既に外注で作られたプロトタイプのようなものがあったので、それを引き継ぐ形で一人で開発を始めました。

それから、カート株式会社を退職した理由を教えて下さい。

3年半程在籍しました。最後はキャッシュアウト寸前で会社を売却しているため、退職したというよりは会社を潰してしまったという方が正しいかもしれません。思い返せばそこに至るまでに多くの失敗がありましたが、正直最後は悔しいという気持ちより、やりきったという気持ちのほうが大きかったです。

その後、株式会社リクルートホールディングスへ入社を決めた理由を教えて下さい。

実は、カートを退職するタイミングで、現在の会社(トリビュー)の代表 毛からお誘いを受けていました。私のこれまでの経験から、ある程度自分の価値を発揮できるサービスだと思っていました。

しかし、それまでずっと小さな組織でのサービスの立ち上げや開発をしてきて、果たして自分がやっていることは正解なのだろうか?という疑問が常にあり、もっと他の環境での新規事業開発も経験してみたいという想いもあったことから、リクルートホールディングスの新規事業開発室へ入社することを決めました。

プログラマというよりも、新規事業が小尾さんの軸なんですね!

そうですね。一応ソフトウェアエンジニアという職種ではありますが、私は何をやる人なのだろうとは、常々思っています(笑)今もエンジニアをやっていますが、サービス全体の事を考えている時間も長かったりするので、仕事の一つの側面としてソフトウェアエンジニアをしているという感覚です。

リクルートホールディングスでは、どのような仕事をされていましたか?

新規事業開発室なので、様々な新規案件に携わりますが、私の役割は事業によって違いました。例えば、ミッションのほとんどが開発という事業もあれば、ある事業では開発以外のミッションがメインということもありました。後者の場合ですと、まだ事業化前で、ごく限られた予算、時間の中で起案者の想いを聞きながら事業化の方法を探るといったものもあります。さらには、デザイン、開発、広告運用を1人で受け持っていた事業もありました。

スタートアップと大企業の新規事業の違いは何でしたか?

大きな違いは、あくまでも「企業の新規事業」であるという点です。「1年後にここまで達成できなければ撤退」ということや「なんのために会社がその事業に投資するのか」はこれまでになく意識させられました。大まかには半期や通期で事業の継続審査があり、審査を通過できれば追加予算、そうでなければ撤退という仕組みになっています。

もちろんスタートアップでも、資金調達のタイミングでそのような機会は訪れますが、いわゆる投資家ではなく、会社の決裁者からどうサービスの理解を得るかを経験できる場は多くありません。それを多く経験できたことは大きな学びになりました。また、そういった中でリクルートがその事業に投資する意味や、リクルートにとっての論点や事業を通して検証したいことはなんなのか、という視点もとても新鮮でした。

トリビューへ入社。口コミアプリを経て予約アプリとしての成長を実感

2018年8月、トリビュー(現職)へジョインを決めた理由を教えて下さい。

トリビューは、リクルートへ入社する前から手伝っていました。当時、まだバックエンドが少し書かれていたような状態で、初期の立ち上げから携わっていました。

また、当時の私は、リクルートで仕事をする傍ら、副業でトリビューを含めて5つ位のプロジェクトへ携わっていました。中には、立ち上げ前のプロダクトもありましたし、もうすぐ黒字化するというような案件もありました。並行して取り組む中で、「これはあの案件でも使えそうだな」などそれぞれで得た知見を他のところへ生かせる部分も多かったのでメリットもありました。もちろん、守秘義務は守った上でです(笑)

しかしその中で、私自身何か1つに集中して取り組んでみたいという気持ちも芽生えはじめました。トリビューは、サービスとしても徐々に形になってきて、出資も決まり、開発もより加速させていきたいというタイミングでした。最終的には、代表の毛の人柄が決め手になり、トリビューにフォーカスすることにしました。

入社当初のトリビューはいかがでしたか?

最初、ウェブブラウザ版から提供していたということもあり、アプリをリリースしたり、口コミ投稿を集めたりと、とても苦労しましたね。

確実に求められているサービスだというのは検証を通して分かっていましたが、まずは口コミを集めなくてはサービスが成立しないため、マネタイズまでは長く時間がかかるだろうとは感じていました。

どのタイミングから事業やサービスが成長できると感じましたか?

アプリ内で予約の機能を提供開始したことは、1つターニングポイントになっていると思います。とは言え、最初からトリビューを使って予約する理由を作れていたわけではありませんでした。システムだけではなく、多くのクリニックに導入いただくことも必要です。そのため、「予約アプリ」として使っていただけるようになるまでも、多くの時間がかかりました。それでも直近では多くの方にご利用いただけ、大きな成長を感じています。

トリビューのシステムや組織の抱える課題、どう解決していくか

現在の小尾さんの業務内容を教えて下さい。

現状一番大きな割合を占めているのが、プロダクトマネージャー業務(以下、PM)です。PM業務が約40%、採用20%、開発20%、その他20%という感じでです(笑)

これまでは、代表の毛と私の2人でPMの役割を担っていましたが、毛には実現したい世界や会社としての戦略を考える時間を十分に取ってもらいたく、私の方にPM業務を寄せてきています。

現在のトリビューの開発組織体制を教えて下さい。

現在、フルタイムで入っているエンジニアは7名います。ポジションを固定せず、複数の領域でコードを書いているメンバーもいれば、1つにフォーカスして書いているメンバーなど様々です。また、社員、業務委託パートナーが半々ずつ在籍していますが、情報や権限はなるべく等しく提供し、全員が自立して動けるチームを目指しています。

組織拡大している今、組織面での課題はどんなところにありますか?

エンジニア組織は、私が技術のマネジメントも行っています。また、先ほどPM業務を40%ほど持っているとお伝えしましたが、そろそろ他の方へ任せていくフェーズになってきているため、PMやテックリードの採用・登用を検討しています。組織の上を揃えていくことが、今後サービスをスケールしていくうえで重要なポイントになってくると思っています。もちろん、今いるメンバーで将来的にそのポジションを担って欲しい方はいますが、現時点では外から採用することも並行して進めています。

システム開発はいかがでしょうか?

会社全体として、「全員でプロダクトを作る」ということを意識して取り組んでいて、メンバーにもそう伝えています。

トリビューのユーザー向けにプロダクトの使いやすさを追求するのは当然ですが、導入いただいているクリニックにご利用いただくシステムの使いやすさにも注力しています。使い勝手1つで、ユーザーへの返信速度や予約管理の効率が変わり、最終的にはユーザーの体験を大きく左右するからです。

弊社の場合は、営業チームもクリニックのことを考えて、課題や改善案を上げてくれているため、会社全体として良いプロダクトを作れる流れはできています。

システム面での現在の課題を教えて下さい。

4年ほど運用しているのでコード上のレガシーな部分も徐々に目につくようになってきており、開発の効率に少しずつ影響してきていると感じでいます。これからの開発とこれまでの開発にどう向き合いながら、ユーザーに価値を提供していくかが直近の課題です。

また、トリビューを安心安全にご利用いただくため、クリニックの管理画面や予約の管理システムをはじめ、決済やポイントのシステム、不正な口コミや画像を監視するようなシステムなど様々なシステムにより徐々に複雑になってきています。それをどのようにシンプルなものにしていくかも今後の課題です。

最後に、これから小尾さんがトリビューで成し遂げたいことやご自身の夢を教えて下さい。

トリビューの利用者数を増やすことはもちろんですが、事業的には予約数をどこまで伸ばしていけるかが重要なポイントになります。最終的に美容医療という選択肢を選ぶにしろ、選ばないにしろ、誰も後悔しない世界を目指したいです。

また、裏返しにはなりますが、導入クリニックが増えないと予約できるクリニックも増えていきません。現在トリビューでは、約350院のクリニックに導入いただいています。しかし、日本全体では約3000院のクリニックが存在するので、まだ全体の1/10程度にすぎません。今後、トリビューを導入する価値をしっかり感じていただくことも大事だと思っています。

直近の個人の目標だと、クライミング(ボルダリング)で初段を登ることと、弓道をはじめることです(笑) 最近クライミングされているエンジニアの方が多いので、ぜひ誘ってください!

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