株式会社アペルザ CTO 塩谷将史氏について
楽天株式会社在籍中、アジアHQ、および海外開発チームの立ち上げのためにシンガポールに赴任。3年間でシンガポールを中心に日本・インドの3拠点間で合計100名近くの開発体制のマネジメントを経験。その後、現職株式会社アペルザに取締役CTOとしてジョイン。クロスボーダー・多国籍チームのマネジメント経験とEC・デジタルマーケティング系プラットフォームのプロデース経験を生かし、テクノロジとサービスプロデュースの立場からアペルザを発展させている。このような豊富な経歴から弊社CTO育成・就職支援サービス「OCTOPASS」に、講師として参画いただいています。
今回は「OCTOPASS~番外編~」ということで、3名のエンジニアが現場で抱える悩みに踏み込み、マネジメントとは?キャリアとは?起業とは?を塩谷将史氏(以下、塩谷氏)の経験から提言していただきました。
座談会スタート
6月5日、座談会が開催されたのは、日本大通り駅から徒歩3分のアペルザ本社。赤レンガ倉庫や観覧車、ベイブリッジが一望できるおしゃれなオフィスの13階。横浜で評判のサンドウィッチとお酒で乾杯してスタートです。
塩谷氏 “キャリアをフラットに相談できる場を提供したい”
塩谷氏:私が「OCTOPASS」の講師として参画している理由は、転職の機会以外にもキャリアの相談ができる環境があればよいという思いがあり、それが「OCTOPASS」というサービスで実現できたらと考えているからです。
前回はセミナーに講師として参加しましたが、講義形式では一人一人とお話する時間も少なかったため、今回は座談会という形式でざっくばらんにお話ができれば良いなと思っています。 今日の話を、そのまま今働いている会社の中で課題解決に役立てても良いですし、転職の糧にしていただいても良いと思っています。
チームの足並みが揃わない。どう立て直す?
ではさっそく質問に。まずはマネジメントについて。 組織の変化に悩むA氏から以下質問。
―A氏:今務めている会社は、吸収合併により組織が変わってしまったんです。 優秀なメンバー、そうでないメンバーとの間に、モチベーションの差や異なる価値観があり、まとめていくのは、難しいと感じます。チームの足並みを揃えるにはどうすればよいですか?また足並みが揃わないならメンバーを外すことも考えるべきなんでしょうか?―
塩谷氏:チームとして足並みが揃わないというのはただの現象なので、その根本原因を掘り下げて追求しないと解決しないと思います。 例えば足並みが揃わない原因が、著しくモチベーションの低いメンバーだとすると、しっかりとコミュニケーションをとってそれを解決をするべきですね。それも難しい場合はその方を外していく事も考えなければならないと思います。メンバーを外す、というのは周りのメンバーへの影響も考慮すると難しいかもしれませんが、例えば開発プロセスを厳しく管理するようにし、モチベーションが低ければそこについてこれなくなり成果も出ないので、結果的に自然と外れていく、というやり方も1つだと思います。
このような感じでマネジメントというのは、目的を達成するための手段にすぎません。ですからマネジメントについて考える際には目的が何かを明確にする必要があります。また、ご質問のような状態は有事(すでに問題が起こってしまっている)なので、1秒でも早くネガティブな状況をゼロに戻すことが重要です。 では、どうするのかー。私は、「自分でそこ(現場)に飛び込んでいく」ことにしています。最速で問題を解決するためには、渦中に飛び込み、情報を集めて、改善していくのが最も有効なアプローチだと考えているからです。
マネジメント、それとも技術を極める。どちらに進むべきか?
続いてはキャリア形成について。 自身の今後のキャリアに悩むB氏から、以下質問。
―B氏:キャリアを形成していくうえで、技術に特化していくほうが良いのか、それともマネジメント系スキルを向上させていったほうが良いか、どちらでしょうか?―
塩谷氏:これもすごくよく聞く話です。私がキャリアの相談を受けるときは最初に「自分の人生をどう生きたいのか」を話してもらうようにしています。それは、人生が80年〜100年とした時、キャリアは人生のほんの一部でしかないと考えるからです。まずどう生きたいのかを決める、その人生に位置付けたときにどんなキャリアにしたいんですかという話だと思うんですよね。
おそらく技術に特化するのか、マネジメントに特化するのかだけの話じゃないのかなと思います。約10年前、エンジニア35歳定年説とか言われている時代もあったけれども、今はそうじゃない。現実はもっと複雑で、技術に特化してやっていける人もいるでしょうし、一方ではエンジニアも年を重ねて会社の中で昇進していくのであれば、マネジメントは絶対必要だよねという考え方もあると思うんです。なので、技術特化かマネジメントか、の二者択一ではなく、人生におけるキャリアの中で何を達成したいか、大事にしたいかを考える事が大事です。
また、自分で考えるだけではなくいろんな人に聞いたり、相談したりすることは非常に大事ですね。自分の可能性は自分以外の人の方が意外と知っていると思いますから。今日の座談会のような機会も含め、他者の目線で自分を見てみることで発見することは多いです。
さらに、アペルザのエンジニアとして活躍する上保氏からも助言。
上保氏:僕自身、今アペルザでエンジニアとして働いているんですが、もともと大手ECサイトで検索エンジンを作る仕事をしていて、当時チームリーダーという仕事に非常に苦手意識がありました。アペルザに入社する時も塩谷さんに「僕、後輩とか育てられないけどいいですか?」って言って入社したくらい。(笑)
「後進育成に携わりたくないなら、フリーランスになればいい」とも言われますが、また事業会社(アペルザ)に入ることを選んだ。それはなぜか?と考えた時に、自分は技術志向でもマネジメント志向でもなく、「サービス志向」なんだと気づきました。良いサービスを世に出したいってことですね。「サービス志向」という言葉は以前一緒に働いていた上司からの受け売りなんですけど、この言葉を聞いたとき、まさに目から鱗が落ちる思いでした。 アペルザでは、製造業のビジネスモデルを変えるようなサービスを作っている。そこに、自分の技術をもって携わることが大事なんです。そう考えると最新の技術やチームマネジメントはそのための手段でしかないと考えるようになりました。
塩谷氏のアペルザとの出会い
最後は、塩谷氏の自身のキャリアについて。
自分の現状把握に悩むC氏から以下質問。
―C氏:塩谷さんがアペルザ創業メンバーと出会ったきっかけはなんだったんでしょうか?社外のコミュニティに多く参加していたからなのか、塩谷さんが何か目的に対して行動量を多く活動していたことによるものなんでしょうか?―
塩谷氏:まず私が起業を決めたのは30歳のとき。「35歳で起業しよう」と決めました。35歳で起業していなければならない理由はなかったですが、決めることでまず行動が変わりました。とはいえ、何をどうすれば起業ができるのか全くわからない状態でした。
その2年後、楽天のプロジェクトでシンガポールに赴任しましたが、そこで一気に考えが前に進みました。東南アジアの人たちはすごく未来に対してポジティブで、難しく考えずにどんどん起業するんですよね。そういう環境にいて色んな人と話をすると、「自分も起業できそうだ」という思いが強くなりました。 さらに起業を決めて、周りの人たちに自分の想いを話すようになると、話を聞いた人が起業に関係しそうな別の人を紹介してくれることも増えました。多くの起業家に話を聞きに行くこともしました。その時に取ったメモは今読み返してもすごくためになるし、こういった人たちとの出会いは自分がCTOとして経営に携わるうえでも大きな糧になっています。 アペルザの創業メンバーに巡り合ったのもそんな時でしたね。 つまり、起業すると決めて、そのために真剣に行動していたら自然と情報や人が集まるようになった、という事です。
最後に
約2時間に渡る座談会が終了。最後に参加者へ本日の座談会の感想を伺いました。
参加者の感想
A氏:講義の時は、こんなに深堀して話す機会がなかったので、今回のように少人数制で行うことはより深い気づきを得ることができ良い機会になりました。
B氏:塩谷さんのお話ももちろんですが、一緒に参加してくれた2名が自分とは異なる経営視点も持っていて、とても刺激をもらいました。
C氏:話やすい雰囲気でした。今日の話を聞いて、これから自身のキャリアの棚卸をしたいと思いました。
と、それぞれ今回の座談会を通して、新しい発見があったようです! 株式会社アペルザは、製造業を扱うお堅いイメージがありましたが、スタートアップらしい非常にアットホームな雰囲気の素敵な会社でした。 エンジニアのキャリアにお悩みの方、 お気軽にご連絡ください。