「社会に明確なインパクトを与えたい」DROBE CTO都筑氏の軌跡とDROBEでの展望

株式会社DROBE 最高技術責任者CTO 都筑 友昭

半導体企業でエンジニアを務める傍ら、iPhoneやAndroid黎明期のアプリブームに魅力を感じ個人開発をスタート。その後グリーに転職しゲーム開発に従事し、エンジニアリングマネージャーも担う。自分でも事業を立ち上げたいという思いでグリーを退職したものの軌道に乗らず、経営戦略を学ぶためにエンジニアとしてボストン・コンサルティング・グループに入社。同社の出資を受け、複数のメンバーとともに株式会社DROBEを創業。CTOに就任し現在に至る。

株式会社DROBEについて

御社の事業内容について教えて下さい。

当社は女性向けの提案型ファッションECサイト「DROBE」を運営しております。
世の中に女性向けファッションECサービスは多数存在しますが、当社の特徴はお客さまが自分だけで商品を選ぶのではなく、登録していただいたプロフィールや予算などのデータをもとに、プロのスタイリストがお客さまにあった商品を提案させていただくサービスとなっております。
商品はご希望の頻度でご自宅に届き、自由に試着し気に入った商品のみ購入できます。
20代〜50代まで、幅広い年代の女性がターゲットで、サービス利用者は現在15万人を突破しています。購買率は70%を超えています。

ゲームを楽しむことを目的に出会ったパソコン。学生時代、電気的な物が動く仕組みに興味を持ち、半導体企業に就職

最初に都筑さんがインターネットやパソコンに興味を持ったきっかけを教えてください。

パソコンとの出会いは早く、父が大手電機メーカーに勤めていたため、物心ついた時からPC-9800が身近に存在していました。当時はWindows OSがなくMS-DOSでした。
幼稚園に通っていた頃、MS-DOSにフロッピーディスクを挿入し、コマンドを実行するとゲームができるということを父に教えてもらったのがきっかけで、純粋にゲームがしたいという気持ちから、自分でも触ってみるようになりました。

中学生になり、C言語、C++を少し学習したものの当時は挫折し、本格的にプログラミングを学習するようになったのは半導体エンジニアになるため進学した大学院時代でした。

学生時代にプログラミングを学習されたのですね!なぜ半導体企業に就職されたのですか?

電圧や電流や回路などといった電気的な物が動く原理を知りたいと思ったからです。

私は物事の本質や原理が気になってしまう性格でして、、例えば自分でデジカメなどを開発できるよう原理を理解したいという思いがありました。
もちろんインターネットや通信技術にも興味はあったのですが、当時の私は、これらの技術の根本であるその信号がどういったものなのか、仕組み自体を理解しなければ気持ち悪いという思いがあり、半導体の会社に就職しました。

興味は半導体から、自由な領域のアプリ開発へ。個人開発のニュースアプリでの悔しい経験から、グリーに転職

その後、半導体企業でエンジニアを務める傍ら、個人でアプリ開発をしていたと伺いました。

IT企業に勤める友人とデザイナーの友人、私の3人で無料ニュースアプリを開発していました。ある朝友人から連絡があり、ダウンロード数が急上昇しApple storeのニュースアプリランキングで4位に入っていたのを見て本当に驚きました。

半導体からアプリ開発に興味を持ったきっかけはなんですか?

半導体企業で業務を進めるうちに、ある程度の事は説明ができる程度にはハードウェアの原理が理解できるようになっていました。
当時iPhone、Android携帯などの3Gサービスの開始によりアプリケーションが普及し始めたところで、こんなにも自由な世界があるんだと感動し、自身でもアプリを開発したいと思ったのがきっかけです。
半導体企業で組み込みソフトの開発を行っていたので、プログラミングには抵抗はありませんでした。

その後、グリーに転職されておりますが、きっかけはなんだったのですか?

アプリ開発を行っていた頃、他のニュースアプリの開発者とお会いし、ソフトウェアエンジニアについて、インターネットについて、業界について色々と教えていただく機会があったのですが、当時半導体エンジニアだった私にはとても新鮮な情報でした。
その後、我々のニュースアプリは新規機能を追加した際に不具合が起き、ランキングが落ち、ユーザーを取り戻せぬまま終了したのですが、お話しさせて頂いた方のアプリがその後もランキングを昇り詰めていくのが単純に羨ましく、自分もプロのソフトウェアエンジニアになり将来的には自分でサービスを開発したいと思いグリーに転職しました。

グリーではゲーム開発を行いながらも、エンジニアマネージャーも行っていたのですね。

始めはいちエンジニアとしてAndroidのSDKの開発や、サーバーサイドの開発を半年ほど行っていました。その後Unityを用いてブラウザゲームの開発を行い、1年ほど経過した頃には業務にも少しずつ慣れ、最後の半年間はゲーム開発のエンジニアリングマネージャーに従事していました。6〜7人のUnityエンジニア、5〜6人のサーバーサイドエンジニアの両方を取りまとめるマネージャーを担当し、1on1の実施や、ディレクターやプロデューサーの意見を汲み取り実装可能な形に落としてチームに伝えることを行っていました。

私は開発が好きなので、マネジメント業務を行う傍ら、開発のタスクもとってしまうのですが、日中帯は1on1や打ち合わせ対応、夜9時から開発に取り掛かるという日々を半年程続け、疲労も蓄積し判断力も鈍くなるのでプレイングマネージャーはハードな仕事だとは思いましたが、いい経験になりました。

その後グリーを退職されたのはなぜでしょう

ゲーム開発チームの解散をきっかけに、今後のキャリアを考え独立しました。今思うと2年のエンジニア経験で独立なんて甘いと思いますが、当時は若干コードが書けるようになっていたこともあり、独立して自分の力を試したいと考え退職しました。

その後は個人開発を一緒にしていた友人と案件を受託しフリーランスエンジニアとして活動したり、別の友人と会社を運営しておりましたがあまり上手くいっている手応えがありませんでした。そんな時にたまたまボストンコンサルティンググループが大企業のアセットを活用した新規事業の立ち上げを担うエンジニアを募集しており、事業立ち上げを今までとは別の角度から行える事に魅力を感じ入社しました。

ボストンコンサルティンググループに入社。DROBEの前身となる人生を懸けるプロジェクトに出会う

ボストンコンサルティンググループ(以下BCG)ではどのような事を行っていたのですか?

BCGデジタルベンチャーズという、大手企業と協業し、プロダクト開発を行いイノベーションを起こすチームに配属され、エンジニアとしてテクノロジーの面から事業立ち上げのサポートをしておりました。

DROBEのサービスは元々BCGと三越伊勢丹との協業プロジェクトから始動したもので、当時から現CEOの山敷がプロジェクトリーダーを務め、私自身はプロジェクトが発足して1か月後にエンジニアとしてジョインしました。
現経営陣は創業期から揃っており、現CMDOの佐熊は三越伊勢丹から、現COOの長井はBCGのメンバーとして一緒にプロジェクトの立ち上げを行っていました。

CEOの山敷はファッションが好きでしたが、私はあまりファッションに興味がなく、当初はプロジェクトがある程度まで進み次第、異動させてもらう予定でした。この時はまだ自分が人生をかけるものがファッションの領域だとは思ってもみませんでした。

プロジェクトアサイン当初はどのようなことをされていたのですか?

BCGと三越伊勢丹からそれぞれ社員が集まり、新規事業を進めるにあたってどのようなサービスを作るか決める段階でした。
エンジニアとして参加していた私は、会議で挙がったアイデアに対しエンジニアの視点で意見したり、想定ユーザーの方々へのインタビューに同行したりしていました。

当時は様々な事業アイディアがあったのでそれらをテストしていきました。ABテストではお客さまに服を提供するまでのパターンをいくつか考案し、
「ユーザー登録後オンラインでカウンセリングを行うパターン」
「ユーザー登録後オフラインで一緒にショッピングに行くパターン」
「カウンセリング後、商品は発送せずに某ファッションECサイトの商品ページリンクを提供するパターン」などがありました。
それぞれテストし、最終的にユーザーインタビューを重ねた結果、現在のDROBEに近いサービスの形で決定し本格的に開発がスタートしました。

データドリブンな組織作り。個々のエンジニアがプロ意識をもってフルスタックに活躍

DROBEではAI技術を取り入れていることもあり、エンジニア組織、ビジネスサイド共にデータドリブンの文化が根付いているとお聞きしました。

そうですね。分析したデータに基づいて意思決定を行うようにしています。

データの蓄積は開発当初から絶対に貯めようという確固たる方針がありました。
DROBEはスタイリングサービスですのでスタイリストの稼働が必要で、申込1件に対してのスタイリング時間が事業上、重要なパラメーターになるのですが、サービス開始当初はスタイリング1件につき3時間程かかり、事業として成り立たせるには改善が必要でした。そういった状況を改善するために AI 技術を開発し実用に載せる事が至上命題だったので初めからデータを貯めていくことは決定事項でしたね。

スタイリング時間の短縮に成功させたエンジニア組織についても教えてください。

DROBEが創業したタイミングでは、私含め3名の正社員と業務委託の方数名のエンジニアがおり、役割はなくフラットな組織で個々がプロ意識をもって開発に取り組んできました。
現在も規模的に大幅に変わりはなく、メンバー10名弱のうち、正社員は私含め4名、他は業務委託の方です。
業務内容はフロントエンド、バックエンド、機械学習の3つの職種がありますが、エンジニア一人一人が得意な分野をもちつつ、複数の領域をオーバーラップして対応しております。一般的なWeb開発のみ行っている会社と比べると特殊性はあるかと思います。

DROBEを通して社会に明確なインパクトを与えたい。組織体制、オンラインコミュニケーションの最適化

これからのDROBEでの都筑さんの役割はなんでしょうか?

今後の私の役割は、DROBEという会社がどのような技術を使ってどのようなインパクトを社会に与えていくかの道標を作る事だと考えています。
現在は、既存事業を運用しながら、新規事業の立ち上をしていますが、スケールの大きな目標を達成するために行うべき事の言語化と、その達成に向けた山の登り方を整理し、さらにそれを実行可能にするべくチームを組成して一緒に登っていく事だと思います。

新型コロナウイルスの影響でリモートワークは主流になってきましたが、オンライン上のコミュニケーションで工夫している点を教えて下さい。

ここ最近、Slack上でリアクションをたくさんとることを意識した結果、メンバー間でのコミュニケーションに変革をもたらすことができたと思っています。
元々、オンライン上のコミュニケーションは淡々としてしまいがちなタイプだったのですが、過去のSlackのやり取りを見返したときに、自分自身のあまりのリアクションの少なさに気づき、反省しました(笑)それ以降、オンライン上でのコミュニケーションを意識するようにしています。

Slackに会社のバリューに沿った行動や、感謝を伝え合う「ピアバリュー」というチャンネルを設けているのですが、どうせ感謝するなら全部ピアバリューで発信しようと思い、発信し始めたところ社内が盛り上がり、他メンバーも投稿してくれるようになりました。30名程度の組織で、これまでは2日に1件程度の投稿頻度だったのが、現在は1日に10件程度投稿されています。

また基本フルリモートですが、出社のタイミングが重なったメンバーとは、一緒にランチに行ったり、雑談したりなど、積極的にコミュニケーションをとるよう意識しています。

洋服の買い方の仕組みを変えていきたい。

今後DROBEを更に盛り上げていくためには、どんな人材がDROBEにマッチすると思いますか?

前提として、エンジニアリングが好きであることは大事な素養だと思いますが、一番はDROBEのビジョン、ミッションに共感できるかがとても重要だと、採用を繰り返す中で気づきました。
DROBEでは、ファッション領域に限ってではなく、世の中の小売りやEコマースを仕組みごと変えていきたいという思いが根底にあり、ビジョン、ミッションを掲げております。
誰しも始めは勢いがありますが、事業の進捗やビジョンの近づきのひとつひとつに喜びを感じれるかというのがすごく重要で、そういったところに燃え上がることができる人でないと、どれだけプログラミングが好きでも、事業成長のために長期的に一緒に戦うことはできないと思っています。

実際に選考では、その人のやりたいこと、興味関心が少しでもDROBEのサービスと合致している点があるか、またDROBEのサービスに関わることでやりたいことが芽生えるかという観点で、私含め経営陣全員との面談を実施させていただいています。面談の中でその方がDROBEでやりたいことが芽生える機会もたくさんあります。

シリーズBで10.6億円を調達したDROBE。都筑さんの今後の目標を教えてください!

創業から4年程DROBEというサービスを提供してきましたが、現在、新事業として既存のアパレルブランドと組み、店舗と連携してDROBEのサービスを提供していくことを考えています。

現在の構想では、まずユーザーがアプリから好きなブランドの店舗を選び、プロフィールを登録後、店舗に行く日程の予約を行います。予約があった店舗側では、ユーザープロフィールをもとに、商品を5-6点取り寄せます。予約日当日、ユーザーが店舗に行くと、自分のプロフィールを事前に把握した販売員から接客を受け、その場で試着、オンライン決済ができるというサービスです。
実店舗でサービスを展開することで、売り上げの向上はもちろん、販売員のモチベーションや接客の質の向上、リピーターの増加、在庫管理の数や生産数量の最適化、という観点でも業界全体で改善が期待できると思っています。

世の中ではオンラインで服を購入する人が増えたと言われていますが、実際アパレルの EC 化率はまだ 30% 弱程度です。店舗購入体験のDXという文脈で、今後洋服の買い方を根本的に変えていきたいと思っています。
今後のDROBEは世間にインパクトを残せると社員全員が信じています。
我々と一緒に世の中の仕組みを変えていきたい方をお待ちしております。

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